母子健康協会 > ふたば > No.69/2005 > 少子化社会における小児医療 > II-4. 考察
少子化社会における小児医療 小児救急、時間外診療と地域医療への貢献、大学小児科の役割
大分大学医学部脳・神経機能統御講座 小児科学教授 泉 達郎



4. 考察


 大分県の−過疎地域における少子、高齢過疎化を小児医療の現状から見た検討であるが、竹田直入地区は平成3年より小児科医院の休診、閉鎖より小児科医不在の状態が続き、この期間に一致して、少子、高齢、過疎化が大分県内で最も進行し、小児科医師数、小児医療の現状、との間に統計的有意の相関が見られた。田久、田中らは平成13年の「2次医療圏毎の小児救急医療体制の現状等の評価に関する研究」のなかで、全国360の保健医療圏のうち、小児科医が不在なのは竹田直入と茨城県鉾田の2か所だけであり、保健医療圏毎の小児人口でも竹田直入は全国最下位、東国東は下位より9位であること、竹田直入と鉾田の2地区を除外した地域における15歳以下小児人口/小児科医師数は小児科医師過疎度となり、上位8位に東国東が位置していることを指摘している2)。平成16年の松尾らの報告では全国363保健医療圏のなかで小児科医のいないのは竹田直入のみであると報告している3)。
 小児人口と小児科医師数の比は地域における小児医療の過疎度や充足度、活動性、質を評価するうえで、最も基本的な指標である3)。地域社会の活性化を図る視点から、少子、高齢、過疎化対策には、こどもを産み育てやすい社会の構築が必要であり、教育と共に、医療、特に、小児医療は社会における最も基本的基盤構成体であり、小児の救急、時間外診療の整備充実が必須であることを示唆した。
 大分県と竹田市、大分県医師会、当大分大学小児科による小児科医不在地域の解消、小児医療体制の整備改善に向けての努力が開始され、この少子・高齢、過疎化で、こどもの少ない地域に、あえて、平成15年10月より竹田市医師会病院に小児科を新しく開設し、非常勤医、平成16年4月より常勤医を派遣し、近隣の病院小児科医と連携し、休日の小児救急、時間外診療体制の整備と地域完結型小児医療体制整備を目指している。



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