母子健康協会 > ふたば > No.68/2004 > 幼稚園・保育園に通う年齢のこどもの腎臓病 > 4 無症性制血尿
幼稚園・保育園に通う年齢のこどもの腎臓病
東京大学大学院医学系研究科小児医学講座教授 五十嵐 隆


4 無症性制血尿


 三歳児検尿などにて血尿を指摘されるこどもが増えています。本人は元気で、症状はなく、まれに感冒罹患時に一時的に肉眼的血尿(尿の色がコーヒーやコーラのような色になる状態)になることがあります。糸球体血管の壁が正常よりも薄いために、赤血球が糸球体血管の内部から一時的にできた血管の壁(基底膜というゲル状の壁です)のすきまから血管外に漏れ出て、これが尿中に出てきて血尿となります。この病態は遺伝性で、常染色体優性遺伝をとることが多く、親御さんのどちらか一方が同じような症状をもつことが少なくありません。病気と言うよりはどちらかというと体質と考えた方が良いと思います。正確に診断するには腎生検を行い、糸球体血管の壁(基底膜)の厚さを電子顕微鏡写真で測定することが必要です。しかし、検査の危険性などを考え、現在では血尿のみを示し、蛋白尿がない患者さんには腎生検を行うことは少なくなっています。

【治療】
 特にありません。

【通園時の注意】
 食事、運動共に制限は不要です。




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