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少子化社会における小児医療 小児救急、時間外診療と地域医療への貢献、大学小児科の役割
大分大学医学部脳・神経機能統御講座 小児科学教授 泉 達郎



II. 小児科医のいない街:少子、高齢、過疎化への影響


 少子、高齢、過疎化の地域には小児医療は不要で、昨今の市町村合併による病院小児科の統合や道路網の整備で対応できるのか、逆に、小児医療の不備、欠落が地域社会における少子化、出生率の低下の一因と考えるのか。
 大分県竹田市とその周辺町村、竹田直入保健医療圏は13年間小児科医が不在で、その間に少子、高齢、過疎化が大分県下で最も急速に進行しました。我々は、地域社会における小児医療の役割について、人口動態より検討し報告しました1)。その要約の一部を改変・追加して記載させて頂きます。
 保健医療圏とは、1985年12月改正の医療法に基づき、都道府県に作成が義務づけられた「医療計画」の必要的記載事項で、基準病床数を算定するために設定された圏域であり、この単位で地域の実情に即した「地域保健医療計画」の策定が都道府県に義務づけられているが、「小児医療」との直接の関連はありません。
 大分県は古くは江戸時代より小藩、天領、他藩の飛地、更には、地形などより小地域に分けられ、それぞれの地域における歴史と文化、生活、流通経済を基盤として10保健医療圏に分割されている。小児科医師数は平成14年11月1日における大分大学医学部附属病院小児科やその他の病院小児科、診療所の小児科医数を基準とした。人口動態は15歳未満人口は各年10月1日の各市町村における「毎月流動人口調査」を基準とし、65歳以上人口は大分県庁高齢者福祉課調査より各年4月1日を基準として検討した。
 統計と相関係数の有意差検定は線形回帰解析とFisherのz検定によりp値が0.05未満を統計的に有意と判断した。




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