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第25回 母子健康協会シンポジウム |
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保育と食育 |
1.子供の味覚の発達
神奈川県立保健福祉大学教授 前川 喜平 |
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味覚とは |
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味覚には、「あまい(甘)」「すっぱい(酸)」「にがい(苦)」「塩辛い(塩)」の4つに「うまみ」を加えて、5つの味があると言われていますが、厳密には確認されているのは4つの味です。新生児がいろいろな味に反応することは、今までの各種の研究でわかってきています。これからお話しすることは、今から20年くらい前に味の素の研究費で主におこなったものです。
新生児の味覚 |
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最初にこの赤ちゃんの写真(図1)は、新生児室で、お腹が空いた赤ちゃんに普通のミルクを与え、飲み始めたところで、こちらが用意した食塩水を飲ませるとこういう顔をします。さらに次の写真(図2)のこの赤ちゃんは、今度はそうではなくて、お砂糖水を飲ませたらこういう顔をしました。この写真で、実際に赤ちゃんは塩辛い、甘いなどの味がわかることがお判り戴けたと思います。それでは、赤ちゃんはどの位の濃さの味が判るのでしょうか、今と同じようなテストを、種々の濃度の食塩水と酒石酸溶液を作成し、どのぐらいの濃度で赤ちゃんが飲むのが変わるか、反応するかを見てみました。
味の素の商品研究所でボランティアを雇っておこなった研究では、成人の識別濃度は食塩水が0.5%、酒石酸溶液が0.2%であるのに対し、新生児は食塩水が0.25%、酒石酸溶液が0.1%と成人の2分の1の濃さで反応することがわかりました。すなわち、赤ちゃんは成人より味覚が敏感で、薄い味でも反応するということです。しかも反応する時間は、食塩水のほうが酒石酸溶液よりも早く、強く反応します。この理由は、赤ちゃんは腎臓の機能が未熟なので、身体に害がある食塩水に早く反応するというメカニズムを持っているからだと考えられます。赤ちゃんは味覚が敏感なことは、舌にある味蕾の数が成人よりたくさん存在するという最近の研究結果よりも裏付けられます。 今言った、0.25%、0.1%というのは、すべての赤ちゃんが反応するわけではなくて、ある赤ちゃんは反応し、ある赤ちゃんはあまりしないという濃度なのです。
次に、赤ちゃんは食塩水(0.25%)と酒石酸溶液(0.1%)にどんな反応を示すのかを見てみました。何口飲んだら反応するのか、与えて何秒くらいで反応を示すかです。赤ちゃんに食塩水と酒石酸溶液を与えてみますと、飲んですぐから5口までに反応する赤ちゃんから、6口から10口の間で中くらいに反応、11から20口の間で軽度に反応、幾らでも飲んでしまう赤ちゃんまでいろいろの赤ちゃんがおります。味覚に個人差があります。すべての赤ちゃんが同じようではなくて、敏感な赤ちゃん、そうでない赤ちゃん、鈍い赤ちゃんがいるのです。しかも食塩水の方が酒石酸溶液より強く、早く反応する傾向がありました。
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