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特集 対談 「なぜ今、食育か」
神奈川県立保健福祉大学栄養学科長、食育推進会議委員
中村丁次
神奈川県立保健福祉大学人間総合・専門基礎担当科長・東京慈恵会医科大学名誉教授
前川喜平


知育、体育、徳育。それに食育


前川 もう一つ、食育の背景として国が心配していることに子どもの体力の低下があります。これは主に文部科学省とか小児科サイドの問題ですけれども、
中村 ありますね。
前川 文部科学省のデータを見ても、親の年代と子どもの年代を比較すると、子どもの年代が最近になればなるほど、昔の親に比べて体力に差が出ています。それで、「なぜ食育か」の背景には3つあって、1つは食生活の乱れ、1つは子どもの体力の低下、あと1つは、わが国の食料事情が背景にあるのではないかと思います。
中村 全くそうだと思います。
前川 食生活の改善は年を取ったらダメですね。
中村 そうですねえ(笑)。
前川 それで今、国はどういうことを考えているかというと、食育の知識と習慣を学校で早くから教える、それを生活習慣病と我が国の食料対策にも繋げる、近ごろ学校で食育を教える動きが出ているそうですね。
中村 一昨年、「栄養教諭制度」が導入されました。かつて栄養士さんたちは、どちらかというと学校給食の現場にいたのです。せっかく食事や栄養に知識や技術を持っているのだから、その栄養士さんたちに教壇に立ってもらって、教育の最前線で生きた教育をやってもらうというのでその制度ができました。それは非常にいいことだと私は思っています。世界でも珍しいのです。戦後の教育制度の中では、一般教諭、養護教諭がいて、そして、新しく栄養教諭という第三の先生をつくったのです。
前川 それが従来の学校教育の知育、体育、徳育に食育が加わった理由ですね。食育を含めた概念は、食事だけでなく、心と体と全部ですね。
中村 ええ。それを教えていこうではないかということで栄養教諭ができたようです。ただ、これは都道府県の教育委員会に任されているので、やるかやらないかは都道府県の裁量になっています。でも、ほとんどの県はやると思います。
前川 来年ぐらいから実施ですか。
中村 高知県と福井県は去年から始めていまして、神奈川県は来年ぐらいからやるのではないかと思います。
前川 それは小学校ですか。
中村 主に小学校です。そういう先生をつくった国は世界にはあまりないので、国際的にも注目されています。



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