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食物アレルギーとその対策
岐阜大学大学院医学系研究科 小児病態学教授 近藤 直実



食物アレルギーの症状や病気


 食物アレルギーから起こる症状や病気を挙げると、図1図のように蕁麻疹・浮腫、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食餌依存性運動誘発アナフィラキシー、消化管アレルギー、アレルギー性緊張弛緩症候群等いろいろあります。このような病気は、食物アレルギーでも起こりますが、埃やダニなどの吸入抗原で起こる部分も多くあります。気管支喘息ではむしろ埃、ダニで起こる方が遥かに多いのです。
 二、三の病気について見てみますと、(1)牛乳を飲むとすぐに浮腫がくる、(2)卵を食べて八時間ぐらい経つと顔面と四肢に湿疹がでるなどがあります。(3)アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは同じ物だと誤解を受けていることがしばしばあります。しかし、それは全く違い、それぞれ独立したものです(図2)。アトピー性皮膚炎のある部分は食物アレルギーが関係し、他の部分は、原因不明やダニなどが関係しているというように考えるとわかりやすいです。ちなみにアトピー性皮膚炎であるとの診断は基本的には図3の症状で決定します。図(4)昼ご飯を食べ、食後にボール投げをしていたところショック状態になった。このような症例を「食餌依存性運動誘発アナフィラキシー」といい、急激に起こる病気です。(5)全身の倦怠感、朝の寝起きが悪いということで受診、いろいろと検討したが症状が治らない。何度か検査し、ある食物が合わない可能性が浮かび、それを一切中止したところ、劇的に症状が改善されました。これは食物に関連した「アレルギー性緊張弛緩症候群」という病気です。妙にだるい状態や、逆に非常に敏感・過敏な状態になるという自律神経失調症や、不定愁訴のような症状がみられます。
 以上、まとめてみますと食物を食べてすぐに症状が出るものを「即時型食物アレルギー」といいます。食物を食べて少し時間が経ってから、長いと翌日になってから症状が出るのを「非即時型食物アレルギー」といいます。食物アレルギーは、食物が消化管において消化吸収され体の中に入ってきたとき、いろいろな免疫細胞が働いて出てきます(図4)。主に、ヘルパーT細胞(Th1)というリンパ球が関わりますが、ヘルパーTリンパ球は大きく分けて一番と二番があり、二番のヘルパーT細胞(Th1)が動き出すと、刺激物が出て、IgEが産生されて「即時型」症状が出ます。一番が動き出すと、食べてから少し時間が経ってから主に非即時型の症状が出ます。

図 図
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