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附)No.67/2003より
「子どもの心身を蝕む社会環境 NO.1」
こども心身医療研究所所長 冨田 和巳



はじめに


 平成7年に世間を震撼させた神戸の14歳の少年による殺人事件以来、今年は12歳の少年による幼児殺害も発生し、少年凶悪犯罪が大きな問題になっています。これらは大人の感覚で「凶悪」ですが、加害者にその意識がないことに最大の問題があります。昨年、初めて伸びが止まったものの、以前からわが国に多い不登校や小学1年生からの学級崩壊の出現、あるいは援助交際と呼ばれる少女売春なども加わり、今や子どもが「どうなっているのか?」と誰もが思っています。一方、このような事件や特殊な現象だけをみると、その論議はどこか自分たちと関係の無い、異常な世界のように思えてきます。多くの専門家の分析も、「もう一つピンと来ない意見」がほとんどなので、他人事のように考え、「何が本質的問題なのか」かなりの人々にはわからない状態で、結果的に騒ぎの大きさだけが残ってしまいます。
 しかし、本当は日常何気なくみたり聞いたりしている「身近なところ」にも、はっきりと異常が現れてきているのです。むしろ、こちらの方にこそ、恐ろしい問題が隠れていて、それが突出したところに、先に述べた異常現象が起こっていると私は感じています。これから主に子どもの心身症や不登校の問題を診てきた小児科医の目で、根底にある問題を(私流に)みていきたいと思います。先ず多くの方々がなにげなく目にしていたポスター3枚を例にあげて、問題を探っていきます。。




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