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第28回 母子健康協会シンポジウム 季節と子どもの病気
3.救急よりみた子どもの傷病
北九州市立八幡病院副院長・小児救急センター長 市川 光太郎 先生



市川 皆様、こんにちは。あまりいいニュースソースの出ない北九州からやってまいりました、市川です。 たぶん覚えておられる方が多いと思いますけれども、車の中に園児が置き去りにされて亡くなった事件などのお子さんに対応するなど、そういうことをやっています。今日は、季節と子どもの病気ということですけれども、それも踏まえながら、救急に受診なさるお子さん方の病気から皆さんに何かサジェスチョンできればというふうに思ってやって参りました。

小児救急医療現場で遭遇する主な子どもの傷病

1.窒息とSIDS

 先ほど前川先生がおっしゃいましたように、0歳児は窒息が一番多いということですが、窒息とSIDS(乳幼児突然死症候群)は鑑別が非常に難しい。我々が経験するSIDSというのは、家庭で起こることが少なくないわけですけれども、現実的に保育園で起こると、かなり大きな社会問題になることが多いです。けれども、保育園で起こったSIDSのケースは、ほとんどの症例が預け始めに集中します。昨日から保育園にやり出したとか、試し預けのときとか、何かしら子どもなりに環境の変化に対する反応ができずに、SIDSを起こすのではないかというふうに思っています。
 生後6カ月までに非常に多いのですけれども、日本は1歳までをSIDSと呼ぶようになりました。現実的に0歳児をお預かりになられるときは、預かり始めの1週間はかなり注意して見られたほうがいいのではないかと思っております。確固たる医学的な根拠はないのですけれども、経験上、預け始めに非常に多いという印象を持っております。
 当然ながら、うつ伏せ寝は仰向け寝の3倍ぐらいリスクがありますし、お母さん方の喫煙は4.8倍リスクがあります。そういうところはきちっと、我々の言う問診、家族歴として聞かれておいたほうがいいのではないかと思います。早産児とか未熟児というのはやはり3、4倍ぐらいになりますし、母乳栄養児ではなくてミルク栄養児というのも4、5倍ぐらいリスクが高いと言われています。そういうSIDSという非常に起こってほしくない病気が、0歳児の死因の第3位、事故よりも多いという形で報告されていますので、ぜひとも覚えていただければと思います。



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