母子健康協会 > ふたば > No.72/2008 > 季節と子どもの病気 > 3.救急よりみた子どもの傷病 > 小児救急医療現場で遭遇する主な子どもの傷病 2
第28回 母子健康協会シンポジウム 季節と子どもの病気
3.救急よりみた子どもの傷病
北九州市立八幡病院副院長・小児救急センター長 市川 光太郎 先生



2.高熱性疾患 ― 高熱

 子どもの場合、ご家族が心配して病院や救急に来られるということがほとんどです。大人だったら、あるいは学童だったらこんな夜中に来なくてもいいのに、というお子さんの年齢は非常に多いのが三歳までの子どもさんです。その中で最も多いのは、先ほど横田先生からお話ししていただきました、感染症による発熱(高熱)です。非常に多いということで、どういうふうに対応するのか、見るのか、が求められます。園に来て発熱した場合には、すぐにご家族にご連絡ということになるのでしょうけれども、重症なのかそうでもないのかというのを見分ける方法としては、顔色が悪い、手足が異様に冷たい、元気がない、ぐったりしている、普段よく食べるのに食べない、嘔吐する、などの症状がる場合、一般状態が悪いと言っていますが、いつもの顔つきとちょっと違うというときには、用心しないといけないと思います。そのようにご家族にもお話ししています。そういうところをぜひ見ていただきたいと考えています。
 感染症かどうかまだ原因がわからない川崎病というのは、ご存じだと思いますけれども、川崎病というのも乳児期から幼児に多い疾患です。よくお母さん方と話していると、熱があったけれど、元気そうだったから解熱剤を飲ませて保育園に預けていましたとか、結構平気でそういうことをおっしゃる方が多いんですね、だから園でも熱発児はよく経験されると思います。川崎病は、高熱が5日以上続くということと、何とも言えない発疹が出る、目が赤くなったり、唇が赤くなったり、頸のリンパが腫れる、そして手足も手のひら、足の裏も、乳児ほどわかりやすいですけれども、赤くパンパン腫れるということで、テカパンという表現をしています。もう一つは、BCGを打った後がポーッと赤くなっているというのがあります。そういう症状を見られたら、「川崎病かも」ということで受診を勧めていただきたいと思います。
 「知っておくと便利なポイント」(表5)は、現場で便利かどうかわかりませんけれども、私が勝手に便利だろうと思っているもので、参考になればというふうに思っています。

  • ウイルス性発疹症は殆ど左右対称であり、数日間持続することが多いが、麻疹以外は色素沈着を残さず消退する
  • 時間単位で消退・発現するのは「蕁麻疹」であり、家族が心配しやすい「薬疹」は短時間では消退せず数日以上続き、黒ずんで消退(色素沈着する)する
  • りんご病などのように顔面と四肢中心の発疹も多いが、躯幹(前胸部や腹部)から出現した発疹は四肢に広がって消退していくことが多い
  • 溶連菌による発疹は針で刺したような小発赤疹で痒みを伴い、癒合しない・ヨダレが多くなった時には、咽頭痛を起こしやすい疾患(ヘルパンギーナ、ヘルペス、手足口病、溶連菌感染症など)である
  • 第二種学校伝染病の出席停止期間
    インフルエンザ 解熱した後2日を経過するまで
    百日咳 特有の咳が消失するまで
    麻疹 解熱した後3日を経過するまで
    流行性耳下腺炎 耳下腺の腫脹が消失するまで
    風疹 発疹が消失するまで
    水痘 全ての発疹が痂皮化するまで
    咽頭結膜熱 主要症状が消退した後2日を経過するまで
    結核 伝染の恐れがなくなるまで
  • 学校伝染病の第三種には、腸管出血性大腸菌、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎、その他の伝染病があり、これらの疾患では学校医の意見で出席停止が決定される
  • 学校伝染病以外の伝染病では、学校で流行が起こった場合、学校長が学校医の意見を聞き、第三種の伝染病として措置可能
  • これらの病気には、溶連菌感染症、A型肝炎、手足口病、伝染性紅斑、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ感染症、流行性嘔吐下痢症、などが含まれる。
  • 出席停止の措置の必要がない伝染病としては、頭虱(あたまじらみ)、伝染性軟属腫、伝染性膿痂疹などである。

表5 知っておくと便利なポイント(高熱性疾患)

 発疹は結構家族の方も保育園の先生も気になさる。目に見えるからでしょうけれども、ご家族はすぐ薬疹だと言って来られますし、保育園の先生はうつる病気だというふうに考えられるということで、先ほどからお話にもありましたように、既に発疹が出たらうつらない状態になっているというのもありますから、その辺が非常に難しいのですけれども、原則として時間単位で出たり引っ込んだりする発疹は蕁麻疹ということで、感染性の疾患ではないということになります。ご家族が一番心配なさる薬疹というのは、一たん出たらなかなか引っ込まない、昨日あったのに今日はないとか、そういうことはあり得ないです。かなり黒ずんで汚くなりながら消えていく特徴がありますので、そういうところを見ていただきたいと思います。日ごろ、ヨダレをあまりしないお子さんがヨダレがすごく多いと思われるときには、口の中の病変があるんだということで、先ほどのヘルパンギーナ、手足口病、あるいはヘルペスによる口内歯肉炎とか、そういうことを考えていただきたいと思います。
 いつから園に行っていいのか、学校に行っていいのか、というのはよく尋ねられることでありますけれども、学校伝染病の出席停止期間(表5)というのが決まっています。これは皆さんは覚える必要はなくて、何かの折に引っ張り出して見られたらいいと思います。このようにきちっとした決まりがあるのと、決まりのないものがある。そこがややファジーで日本人らしいところなのかもしれませんけれども、第三種の学校伝14染病、0‐157だとか、流行性角結膜炎、出血性結膜炎、そういう病気がありますし、こういう病気は、園長先生と園医さんが相談して出席停止とか学級閉鎖、園閉鎖を決められることになっています。こういう病気の中に溶連菌感染症、肝炎、手足口病、りんご病、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ感染症、あるいはノロウイルスとかロタウイルスによる嘔吐・下痢などが含まれています。あまりにも発病数が多い、あるいは園内で広がっているという雰囲気があったら、園医の先生とご相談されたほうがいいということになります。そういう高熱を呈する疾患が、特に小さいお子さんほど多いということで、救急で来られる方の8割は高熱を伴っている方が多いと思っています。



母子健康協会 > ふたば > No.72/2008 > 季節と子どもの病気 > 3.救急よりみた子どもの傷病 > 小児救急医療現場で遭遇する主な子どもの傷病 2

事業内容のご紹介 協会の概要活動の概要設立の経緯協会のあゆみ健康優良幼児表彰の歴史
最近の活動のご紹介
小児医学研究への助成 機関誌「ふたば」の発行シンポジウムの開催 Link:Glico