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特集 小さな挑戦者たち−木更津社会館保育園−
「森の魅力」
くじゃく組担任 大屋敷 未希さん



 4歳児のくじゃく組は、月に1回、森・里山の保育へ行っています。
 5月、くじゃく組になって初めての森・里山の保育。子ども達は、出発前から楽しみで仕方がない様子でした。その日は生憎の雨で車での移動(天気の良い日は、くじゃく組からは歩いていきます)となりました。
 「さあ、着いたよ!」と言われて、楽しみを胸に車から降りてみると・・・「あれ?ここが森?!」「間違えちゃったの!?」と保育士に尋ねる子が半数。それもそのはずです。実は、年少・わに組で来ていた“森”とは、違う“森”にくじゃくたちは来たのです。
 去年とは違う場所に、子ども達は皆びっくり!そんな子ども達に反して保育士は「えー?!そう?ここが森だよ」と知らんぷり。すると子ども達も「まあいっか」とばかりに気にせず遊びだします。ある男の子は、「くじゃくになったご褒美の特別の森だ」と、大喜びしていました。そんな“くじゃくだけの特別な森と思える場所も森の魅力でしょうか。
 森に行くと、普段の保育園生活の姿とは一変する子ども達がいます。いつもの散歩ではだらけてしまいがちな一人の男の子。何をするにも力が入らず、絵本の読み聞かせでも、聞いているのかいないのか…。そんなA君は、“森”と聞くと目が輝き、森へ着くと声が大きくなります。森の中の探検でも、普段の散歩とは違い、列の前方へ力強く進み歩いて行くのです。(普段は後方の事が多い…)A君が葉の陰の虫を探している姿は真剣そのもの!平常保育では見られない姿で、とても集中しています。
 食事での好き嫌いが多く、給食の時間はいつも遅く食べ終わってしまうBちゃん。不思議なことに森へ来ると、食べるのが遅いどころか、お代わりまでするのです。それが、1回だけではなく森へ来るとほぼ毎回!
 そんな風に、保母が頭を抱えていたことが、森では一変して、氷が溶けるように解決してしまうのが森の不思議です。
 木登りを始める子、その子に連れられもっと高く登ろうとする子、その木の幹でかくれんぼをする子。公園のようなカラフルな遊具はないけれど、公園で遊ぶよりもイキイキしているくじゃくたち。自分達で遊びを見つけ“森”という空間を楽しんでいます。
 何処に行くのかわからない、何か出るかも知れないゾクゾク間、ワクワク感がいっぱいの森の探検。“ちょっと怖い”が“だから、たまらなく楽しい!”という気持ちが、グイグイ引き出されているような気がします。それは、子どもたちの歩き方でわかります。足取りの軽いこと!自分が自分が!と、われ先に先頭を歩きたがる子も多く、その表情はきらきら。仲間と一緒に、列を作って歩くこと。それもまた森の楽しみのひとつなのです。子どもたちについて歩いている大人が、うっかり見落としてしまうようなことでも子どもたちは、たちまち「発見!」本当に“いい目”を持っているなと感心してしまいます。
 わに組の時にはあまり出来なかった森の中での藪への探検。それこそが今のくじゃくたちの最大の楽しみ“ドキドキ”です。
去年とは違う!という喜び、年長・くじら組の子たちが森から帰ってきた後の、とても充実した表情をすぐそばで見ているくじゃく組。だからこそ感じる、来年への希望・憧れを持てるのも、くじゃく組の森の魅力になっているのです。




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