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お子さんが小柄である事が気になったら
大阪大学小児科学教授 大薗恵一先生



5.成長障害の原因


 内分泌異常、骨系統疾患、奇形症候群、栄養障害、臓器機能障害、慢性消耗性疾患、虐待、ステロイドホルモン剤治療等、多くの場合に成長障害がみられ、原因は一つではありません。先に述べたように生後の時期により成長に影響を与える重要な因子が異なるので、成長障害の出現時期により、原因として主要な疾患が異なることになります。
 出生時の身長・体重、周産期異常の有無(分娩仮死、骨盤位分娩、黄疸の遷延、低血糖)、子宮内発育不全の有無、母親の妊娠出産歴、家族歴(両親や同胞の身長・体重、思春期の発来時期、血族婚の有無)、既往歴と基礎疾患の有無、薬剤の服用歴、家庭環境(虐待や養育放棄の有無を含む)が原因を解明するのに参考となります。食事の摂取状況、機嫌、睡眠といった一般状態、多飲多尿、下痢・血便などの症状の有無も大事です。母子手帳の乳児検診の記録や幼稚園・学校での計測記録から成長曲線を書きます。四肢の均整や栄養状態、顔貌、奇形徴候の有無、外性器の性成熟度、側彎などの脊柱・四肢の変形の有無、心雑音や肝脾腫の有無などについて診察があります。身体のプロポーションは指極(arm span)と身長と比較することで判定されます。  成長障害があるというように診断されたら、スクリーニング検査を受けることになります。内分泌学的検査を含む血液検査、検尿を行います。女児においては染色体検査を行なう事もあります。次いで精密検査として、負荷試験による成長ホルモン分泌能の評価と、頭部MRI検査(あるいはCT検査)により頭蓋内病変の有無と視床下部・下垂体の評価を行います。骨系統疾患が疑われる場合には、骨X線像による骨格の評価を行います。これらの検査でも確定診断にいたらない場合もありますが、引き続き身長の増加を経過観察し続ける必要があります。




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