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第29回 母子健康協会シンポジウム 親と一緒に子育てを
総合討論(6)



―困った職員がいて、その職員にどう気づかせたらいいか

前川 このような質問が、二、三あります。「居すわって辞めない」とか、ここではちょっと紹介できそうにない具体的な質問がありますが。笑)どうしたらいいですかね、職員で困った人がいたときに。

山田 普段の関係ができていなくて、それだけ批判のようにボンと出てきてしまったら、やっぱり受け入れられないと思うんですね。でも、普段の関係をやわらかくつくっておくことはとても大事なことだと思います。子どもが信頼して大人にぶつかる。子どもが「信頼する」ということを覚えるためには、大人が信頼し合っていなければ絶対にこれは伝わるものではありませんので、私たちがまず信頼関係をつくることに努力することは、それだけで、子どもに人間関係のコミュニケーションのあり方を教えるのと同じことだと思います。
 ですから、同僚とかその辺でうまくいかないときには、上の方が中に入って、おしゃべりをしたり、お茶を飲んだりしながら、ちょっと気づかせてあげる。そしてやわらかくなったときに、だんだん話していくと、意外とたくさん悩みを持っていて、実は深かったりするんですね。「ああ、そこで泣いたかぁ」というときもあったりして、「実は抱えていたんだ」ということがよくあります。できれば、そういうものが吐き出せる場面をつくって差し上げると、その方が内側を吐き出すことができて、次のステップに行くこともできますし、その方が相手を信頼することができるように、自分も動くことができるようになったらいいのかなと思います。
 その辺のところで、年齢差のある職員間で役割を上手に果たされるといいのではないかと思います。同じところで言いにくい部分は、年長者の方に役割を担っていただくとか、そういうふうな形をとって上手にコミュニケーションを図り合って、その方も楽になることができたらいいのではないでしょうか。本当に「気づき」ってすごく大事だと思うんですね。
 いま「KY」という言葉が盛んですが、初め全く意味がわからなかったんです。ほんとに遅れていて、「ああ、KYってそういう意味だったんだ」なんていうことでね。前川先生がずっとおっしゃっておられますが、人間同士、生身の声というのが少なくなっている。それこそ、いま、お母さんたちに伝えると、ケータイの一斉メールで全部回るんですよ。連絡網が要らなくて、一斉に伝達できてびっくりしてしまいます。でも、それというのはただの連絡事項であって、人間関係ではないですね。やはり誤解が生じないために、生の声を使い合うことを保育者が気を遣っていくと、努力がすごく実るのではないかと思っております。

―吃る子にはどのように接したらいいでしょうか。

前川 吃る子どもは、目の高さまでしゃがんで、ゆっくり話を聴く態度で治ります。話を聴くということ。仁王立ちみたいに立って「早くしゃべりなさい」なんて言ったら、吃ってしまいますね。子どもを受け入れる姿勢です。
それでは、最後のまとめに入らせていただきます。
 「コミュニケーション ―親と一緒に子育て― 」というのは、技術ではないんですね。心と人間性の問題と、コミュニケーションの重要性をいかに理解するか。相手の立場をいかに受容するかということの根本的な人間関係の基礎です。今日の内容は、困ったときに読んでいただくと参考になることがたくさんありますので、もう一回学習し直してください。
 できないとか、ネガティブに考えないで、ぜひ、気持ちを持って接する。こっちが変われば相手は必ず変わります。それから、純真な子どもの心を伸ばすといいますか、笑顔を守るために、ぜひ、子どもと一緒に保育、親と一緒に発展させていただけたらと思います。
 今日は長時間、非常に難しい問題を討論いただきまして、ありがとうございます。講師一同、心から感謝いたします。ありがとうございます。


講師紹介

前川 喜平(まえかわ きへい)先生
神奈川県立保健福祉大学大学院研究科科長、東京慈恵会医科大学名誉教授。
東京慈恵会医科大学卒業後、同大小児科教授を経て現職。
1996年より(財)母子健康協会主催シンポジウム統括を務める、同協会理事。日本小児保健学会理事、日本小児科学会理事、日本小児神経学会理事等。
主な著書に 「小児神経と発達の診かた」(新興医学出版社)、「乳児検診の神経学的チェック法」(南山堂)、小児の神経と発達の診かた」(新興医学出版社)など。

小林 正稔(こばやし まさとし)先生
神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部社会福祉学科教授。
愛知学院大学文学部心理学科卒業後、社会福祉法人「進和学園・成人寮」(知的障害者施設)生活・作業指導員、神奈川県立中井やまゆり園生活指導員、国府実修学校(教護院:旧法)寮長、児童相談所心理判定員等を経て、現職。
神奈川県教育委員会不登校対策委員会委員・ワーキング部会座長、横浜市教育委員会いじめ等対策会議委員、横須賀市家庭児童相談専門委員、横須賀市児童相談所専門委員、秦野市人権施策推進会議議長、秦野市行政評価委員、秦野市次世代育成地域支援協議会会長、川崎ソーシャルスキル教育研究会最高顧問等。
子育て相談や、保育、幼児教育等のアドバイザーとして、また小学校・中学校等で教師に対するコンサルテーションや指導上のアドバイスをしています。さらにスクールカウンセラーへの支援やアドバイスも行っている。

山田 雅井(やまだ まさい)先生
私塾 「まきば」主宰(幼児教育保育塾)
1971年日本女子体育短期大学保育科卒業
学校法人「聖ステパノ学園・幼稚部」勤務、社会福祉法人「エリザベス・サンダース・ホーム」の子どもたちの保育に携わり、故澤田美喜先生の薫陶を受ける。
私立山王幼稚園主任経論を経て、1996年私塾「まきば」を設立。コミュニティにおける幼児の健全育成の活動を続けている。



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