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第25回 母子健康協会シンポジウム保育と食育保育と食育
2.子どもの健康と甘味 〜適切な砂糖の使用〜
女子栄養大学大学院小児栄養学教授 大和田 操



適切な子どもの食生活とは?


 昨年秋に新しい食事摂取基準、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」が厚生労働省から提出され、2005年からの5年間これを使用することになりました。その内の乳児期から青年期までの基準を表9に要約しました。この基準を、第6次日本人の栄養所要量と比較しますと、たんぱく質必要量の低下、脂肪摂取の軽度増加が特徴で、たんぱく質が低下したため、糖質の比率は相対的に増加しています。また、身体活動基準が異なっても、たんぱく質摂取基準は変わらないため、活動基準の高い場合には糖質摂取の比率がかなり増加します。そして、運動によるエネルギー消費を補う為には、吸収の速い単糖類(自然界では果糖、ブドウ糖)や二糖類(主に蔗糖つまり砂糖)を摂取することが有効です。例えば運動量が多い子どもに、適量の甘い間食を与えることは理に適っています。但し、10歳台の子どもの「甘味」に対する感受性は20歳台の青年に比べると有意に鈍く、20%を超える蔗糖溶液を抵抗無く摂取してしまうとの研究報告がありますので、肥満傾向児の甘みの管理には保護者は充分に注意する必要があります。


 「小児栄養学」の分野の指導的な研究者、楠智一先生は、以前から、近年の子どもの「食の乱れ」には、保護者の無関心が大きな要因となっていることを指摘なさっておいでになりますが、私自身も糖尿病診療を通してそのことを痛感しています。適切な食習慣を幼児期から子ども達に植え付けるためには、集団保育の現場、小児科診療の場からの保護者への働きかけが大切で、甘味の役割についても正しく伝えることが必要だと思います。
 ご清聴、ありがとうございました。 (拍手)



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