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第25回 母子健康協会シンポジウム 保育と食育
3.食の問題行動と対応
国立保健医療科学院研修企画部長 加藤 則子



食欲不振への対応


 次に食欲不振への対応ですが、子どもが食べたくないときに、無理にたべさせようとすると、かえって食事に対する悪いイメージを子どもにあたえてしまう。一旦切上げ、次の食事、またはおやつの時まで、食べ物をあげないようにする。空腹感を子どもに感じさせることも大切です。
 そのほか、1.食事やおやつは、次の食事の時に丁度おなかが空くように、だいたい時間を決めてあげる。 2.牛乳やヨーグルトの望ましい量は、1日200〜300ミリリットル。 3.あまり辛くない、薄味の、適当な硬さの食べ物をあたえる。 4.なるべく外で元気に遊ばせる。 5.幼児期は、テレビを見ながらの食事をやめさせる。 6.暑いときは、無理に食べさせることはない。 7.小さい体の子どもは、必要な栄養量が少ない。無理に食べさせない。 8.風邪をひいたり、おなかをこわしたりした時などは、その病気の治療が大切です。などいろいろありますけれども、エッセンスは2つだけです。食欲不振になってしまうということは、結局、食べさせているということで、本来食べさせるべきではないものを食べているから、食べられなくなっている。例えば、牛乳やヨーグルトなどをたくさんあげているとか、食事以外の時間に食べ物をあげているということ。もう一つ、食欲不振というのは大人が見ての食欲不振ですね。子どもにとっては食べたくないだけで、それが自然なのに、「食べさせなければいけない」と思う大人側の感覚としての食欲不振です。
 例えば小柄な子が、ちっちゃな体を少しずつ大きくするために、そんなにたくさん食べなくてもいいんですよね。でも、大きくしたいがために食べさせようと思うと、子どもはそのプレッシャーに負けて嫌になってしまう。そこの思いのズレで、食欲不振というのが何か問題のあるように感じてしまう。もちろん病気のときは食べたくないですし、暑いときは食べたくない、運動不足でも食べたくない。だいたい、空腹というのは人間にとって生理的に普通のことですので、放っておけば食べられるし空腹にもなると、気軽に考えていくことが必要なところもあるかもしれません。
 それから食欲不振の中には、噛めないとか飲めないというそしゃくの問題もあると思います。今、噛めない子どもとか飲めない子どもが非常に多くて、例えば、そしゃくの噛み方がおかしいとかいうことがあります。非常に噛み合わせが悪くなっています。反対咬合、不正咬合が非常に多いです。そういう場合は、小児歯科が非常に進歩していますので、歯科医などに相談するのも一つかもしれません。それから、飲み込んだりとか、噛めない子どもの場合は、離乳のプロセスのエラーがあったことが多いので、これは回り道でも確実な道をということで、戻っていいと思います。例えば3歳の子どもでそれを見つけたら、モグモグ期とか、離乳食後期とか、そういうところに戻って、もう一回、ちゃんと噛めるもの、それなりに噛むふりができるもの‥‥そしゃくのことがちゃんと慣れていないから飲み込んでしまうので、噛めそうにやわらかいものをあげる、噛むということがどういうことなのか実感できる固さまで戻してあげると、噛むということがやっとそこでわかって、徐々に徐々に噛むことに慣れていくと考えています。



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