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少子化と性教育に関する一考察 |
東京大学名誉教授 鴨下 重彦 |
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最近ある雑誌で、現在の日本を船にたとえ、氷山にぶつかり傾きはじめたタイタニック号の甲板で椅子を並べる努力をしているようなものだ、という記事を読みました。すでに氷山に衝突し、船底から浸水してやがて沈没しようというのに、誰もそれに気がつかず、気づいていても真面目に考えず、椅子を並べることで職務を果たしていると考える愚かさの指摘です。タイタニック号は当時の最新鋭技術の粋を集めた豪華客船で、各界の有名人を乗せ、英国サウザンプトンから米国ニューヨークへ向けての処女航海の途中、1912年4月14日に遭難、2,200人余の乗客乗員のうち1,517人が大西洋に沈んだ歴史に残る悲惨な海難事故でした。
日本丸がぶつかった氷山は巨大で、しかも一つでなく、少なくとも三つはあるというのです。 第一の氷山は少子高齢化で、これは日本人DNAの集団自殺といえるのではないか。第二の氷山は国家財政の大破綻で、世界一の借金大国になっている。第三は国民のモラルの崩壊、これは豊かさと代償に日本人固有の向上心や勤勉さが失われたこと、とありました。これら三つの氷山はおそらく水面下ではつながっていて、一体のものかもしれません。いずれも深刻な問題ですが、私は最も根源的なものは第三のモラルの崩壊ではないか、と考えています。どうすれば沈没は避けられるのか、答えは簡単ではないでしょう。
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