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第28回 母子健康協会シンポジウム 季節と子どもの病気
4.質疑応答(1)



前川 それでは、休憩時間中に皆様から質問表を出して頂きましたので、交代で回答します。意見が異なった場合はお互いに意見を言い合うということで、始めたいと思います。

― 医師から許可が出て登園する際に、タミフルを服用していても集団生活に入ってよいでしょうか

横田 これは確かにちょっと問題かなと思いますけれども、タミフルはインフルエンザのウイルスに効く抗ウイルス薬です。効果という面では、熱を1日から1日半くらい短くするということが薬の効能として書かれています。脳症を起こさないとか肺炎にならないとか、そういうことは書いていないのですけれども、確かに使ってみると熱が早く下がるということはあると思います。
 異常行動が増えるということで、いま10歳台の子どもには原則として使わないということになっていますけれども、小さいお子さんに使うか使わないかということについては、それぞれのかかりつけの先生に任されているわけで、重症感があれば使うでしょう、そうではないときは使わないということになります。しかし日本は、世界のタミフルの70%を消費しているという恐るべき国なんですね。必ず使わなければいけないというわけではないし、タミフルを使ったら脳症にならないという、確かな証拠もないということを知っていていただきたいと思います。
 それから、タミフルを飲んでいる間に保育園に来るというのはあまりお勧めではないと思います。病気が治ってから来るわけで、2日間解熱してからですので、服用し終わってからのほうがいいと思います。タミフルを飲むと早く熱が下がりますので、そのぶん早く登園できます。そうするとまだウイルスがいて、感染する機会を増やすのではないかという心配する先生もいます。ですから、原則として熱が出てから5日間ぐらいお休みする、というのを基本に考えていただければいいかなと思っています

― 窒息とSIDSの区別は

市川 0歳児の死亡原因は窒息が多いということですけれども、SIDSも窒息として死亡統計に入れてしまうという危険性があるということで、窒息なのかSIDSなのかの鑑別は実際に解剖してもなかなか難しいというのが現状です。死亡診断書から窒息という形になっていても、実はSIDS(シズ)の場合もあるし、逆の場合もあるということでご理解していただければと思います。
 SIDSに関して、入園間もない時期に多いと、私は経験上そうだというふうに申し上げました。けれども、SIDS学会でも、他の先生方とその話はよくありまして、子どもにとって環境が変わるということは何らかの影響を与えているのではないかと私は思っています。そういう意味で「慣らし保育」の間に亡くなったというケースがありますので、園でそれをするかしないというのはいろいろな考え方があると思いますけれども、慣らし保育もしくは入園したてのときはより注意して見ていただきたい。そういうお願いを込めて先ほどお話をさせていただきました。

― SIDSで、慣らし保育の期間中は保育園・自宅ともリスキーな時間でしょうか

市川 これは、慣らし保育を始めて自宅でというケースは全然経験がありませんので、自宅は大丈夫ですが、やはり保育園での午睡と言われている時間帯、そういうところでぜひ先生方に注意していただきたいと思います。

― ストレスに対する赤ん坊の認識はあるのでしょうか

市川 よくそれは「ある」というふうに私らは言いますが、その程度が成人の3分の1だとか、そういう数値的なものは出せないというのが現状です。私はストレスは全ての年齢層あると思っています。

― ノロウイルスの迅速診断キットが出たということですが保険適用はありますか

横田 実はありません。そのため自費でやるしかないのですけれども、使っている方がまだあまりいらっしゃらないと思います。便を取って、検査液の中で少しかき混ぜて遠心して上澄みを取ってやるという、時間が20〜30分かかったりする検査です。そのうち、もっといいキットが出てくるのではないかと私は思っています。ノロとロタと区別したからといってどう違うかというと、あまり変わりません。ノロウイルスは、老人の施設などで流行って死亡者が出たとかいうニュースがあったので、皆さん非常に怖がっているのではないかと思いますけれども、ノロはロタに比べたらずっと軽症です。別に怖い腸炎ではないと、理解していただきたいと思っています。同じようにお腹を壊す風邪は山ほどあって、その中で際立ってノロがひどいというわけではなくて、ただ、大きな流行を起こすという面では特別だということだと思います。

― 妊婦さんで、りんご病の抗体検査はできますか

横田 パルボウイルスの抗体検査は可能ですが、抗体にはいろんな抗体があるんですね。ウイルスに対する抗体には、IgG抗体というのとIgM抗体というのがありまして、IgG抗体というのは、一度かかるとしばらくしてから上昇して、免疫のある間は一生、陽性です。IgM抗体というのは、かかってしばらくの間だけ陽性に出る抗体で、要するに最近かかったということを示す抗体です。
 パルボウイルスの抗体の検査は、妊婦さんがりんご病だと疑われるときにIgM抗体を測るというときだけが保険で認められています。この人が今までにりんご病にかかったことがあるどうかを調べるときには、自費ということになって、IgG抗体を調べれば、かかったかどうかは確認できます。
 私は犬が好きですけれども、パルボウイルスというのは、犬では死んでしまうような重症な病気になるのですけれども、人間では、先ほどもお話ししたように、特別な血液の病気を持った患者さんで重症の貧血になることがあるのと、あと胎児の問題だけです。健康な人でも再生不良性貧血みたいな症状になる人がごく稀にありまして、学会で報告されていますけれども、一般の人にとってはそんなに怖い病気ではありません。すごく稀なことを必要以上に心配するのは、意味がないというか、あまり心配し過ぎないほうがいいと思います。

― 頭を打って、たんこぶができたときは心配ないのでしょうか

市川 ほかの講演では、大人の親指2〜3本以下のたんこぶであれば大丈夫、それ以上大きければ診てもらったほうがいいですよ、と答えています。現実的には、たんこぶよりもブヨブヨした血腫のほうが心配なことが多いと理解していただければと思います。

― 異物誤嚥ではどのくらい小さなもので起こしてしまうのでしょうか

市川 大きさのサイズとしては、異物誤嚥として気道に入るのは少なくとも3ミリとかそれくらいです。玩具の鉄砲の弾、あれは一歳の子は平気で気道に入っていきますので、あのくらいの大きさをイメージされたらいいと思います。

― 明日は節分で、0歳児に豆をあげていいでしょうか

市川 それは絶対避けていただきたいと思います。絶対やってはだめです。

― お野菜は薄くしたり、スティック状にしてもだめなのでしょうか

市川 ピーナツとか豆類以外にキュウリとかセロリもだめですけれども、薄くしてというのは経験がないのですが、スティック状を引っかけたというのは何例か経験していますので、スティックはだめです。相当薄い千切りになさるとちょっと変わってくるかと思います。ただ、こういう類いはかなり火が通ればやわらかくなって砕けていきますので、誤嚥の心配は生に近いものだけを考えていただければいいと思います。

― 長期の下痢でお預かりしているときに保育所での対応は

市川 感染性はないわけですので、そこに対する心配はまず要らないということをわかっていただいて、あとは、下痢のために局所が痛んでいる、お尻かぶれがたぶんひどいだろうと思います。それに対する対応をよくしていただくということで、親御さんに対しては、ぜひともニンジン療法を勧めていただきたいと思います。



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