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第29回 母子健康協会シンポジウム |
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親と一緒に子育てを |
1.コミュニケーション保育の実践
私塾まきば代表 山田 雅井先生 |
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絵本やお話で育つ
それから、これはどこの園でも大事にしていらっしゃることだと思いますけれども、絵本やお話の時間を大切にしています。子どもたちは、お話を作ったりするのが上手じゃありませんか? ごっこ遊びの中でお母さん役になったり、赤ちゃん役になったり、猫役になったりして、親が見たら嫌だろうなあと思うように、誰かヒモでゆわいて、ニャオニャオと猫語でしゃべったりしますよね。
絵本を読んでもらう時間がたくさんあると、言葉の世界が広がり、子どもたちは情景や気持ちをことばで表現するようになります。単純なお話の繰り返しであっても、毎日のように読んでいて結果のわかっているお話でも、例えば『いたずらこねこ』などは、「池に落っこっちゃうよ、落っこっちゃうよ、落っこっちゃうよ、あっ、落っこっちゃったあ」とか、そういうのを繰り返し楽しんでくれます。
ちょっとおしゃまな子は、字は読めなくても、小さい子に向かって絵本を読んであげたりしますね。子どもの言葉の世界を広げるのに文字はいらないようです。お話の世界で、言葉をたくさん楽しみ、自分の心をあらわすことが上手になってほしいと思います。
年齢が低いときはどうしても自分の思いをあらわせないから、癇癪を起こしたり、泣くことが多かったり、乱暴してわかってもらおうとしますけれども、語彙数が増えて、言葉で表現できるようになってくると、そういう形も減っていくはずです。ですから、できるだけ柔らかい、心をつないでいくお話、感じていくお話。そして、みんながその絵本を見ながら、「ああ、ああ」と言う、同じものを見て聴いているだけで共有していかれるお話とか絵本の世界を子どもたちと楽しんでいかれるといいのではないでしょうか。
だから、絵本は心を込めて読んであげる時間、そして、それがいつも手元にあって子どもが取ることができる。できれば季節とか、行事とか、身近なものに合わせたものが周りにあると、お話も身近に感じられます。そこから子どもたちが、言葉の生活を広げていくことができると思います。
子どもたちというのは子ども同士、結構いろんなことをお話ししているんですね。大人が遠慮してしまうようなことも普通に露骨にしゃべっていますし、家庭のこともベラベラしゃべってくれますし、兄弟関係のこともしゃべってくれますし、へえー、もっと聴きたいなんていうときもあるくらい、いろいろな話をしてくれます。そこに、お父さんとお母さんの喧嘩ではなくて、お話の世界や、いろいろ経験した楽しいことや美しいもの、いろいろな経験で得たもの、それを言葉を使って遊ぶことができたら素敵だなと思います。
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