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第二十四回 母子健康協会シンポジウム |
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保育におけることばの問題と対応 |
3 吃音など構音上の問題とその対応
国際基督教大学教授 栗山 容子 |
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子どもとの関わり |
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子どもは構音上の問題を除けば、ことばの習得や、あるいはそのほかの発達面は順調でしたし、話し相手としての関わりをしてきました。
どもり、吃音というものが、どんなふうにして変化していくのか、進展していくのか、ということですけれども、これについては、四つの段階が考えられています。
第一段階では、「こ、これ」などというふうに、出だしを軽く繰り返すという症状で、本人にはもちろん自覚されていません。
第二段階になりますと、音の繰り返しとか、あるいは引き延ばしのテンポが非常に速くなり、自分がどもっている最中にそれに気がついて、ハッと驚く。それでも平気でどもるという段階です。
第三段階になりますと、吃音の悪化が予期されるということで、少し心配な状況になるということです。特定の音が出にくくなったり、あるいは不自然に間をおいたり、あるいはつっかえたりといった様子が見られます。
この時期になりますと、言葉を無理に出そうとして、体に力が入ったり、言葉を話すときに、出だしに特に注意を払うといった運動面、身体面に症状が出てくるといったことも見られます。当然、吃音を気にするようになっています。
第四段階では、吃音の慢性化ということで、心理面を中心に、さまざまな問題が深刻になってくるという、このような変化段階が見られます。
この子どもの場合、話しづらさとか、あるいは非流暢性と言われているようなものが増える傾向がみられましたので、専門の先生の指導を受けるように勧めました。
その間に行ったことですが、絵本を見ながら言葉を使ってやりとりをすることを中心にいたしました。問いかけたり、応答したり、あるいは一緒に復唱するといったようなやりとりを行って絵本を楽しみました。正しく言い直してやることと、正しい発音モデルを明確に示すということを、両親にも具体的に示して、そういった対応ができるとよいのではないかとアドバイスをいたしました。
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