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第二十四回 母子健康協会シンポジウム |
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保育におけることばの問題と対応 |
3 吃音など構音上の問題とその対応
国際基督教大学教授 栗山 容子 |
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いつ指導を始めるのがよいか |
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子どもは盛んに言い直しをしながら言葉を使っていることを先に見ました。この時期では、必ずしも、意識して言い直しているわけではないのですけれども、自分の言葉をモニターするという力が育ってきているので、この時期に指導するのがよいというのが一つの考え方だと思います。
一方、子どもが、言葉の持つ意味といったようなものとは別に、言葉そのものを意識することができるようになるのが、学校に上がる頃の六、七歳ぐらいと言われています。たとえば、しりとり遊びなど、言葉の最後の音を言葉全体の意味から切り離して遊べるようになるのがこの時期で、そういった言葉を意識できるようになる時期を選ぶというのがもう一つの考えです。
そういう意味では、かなりケース・バイ・ケースということになりますけれども、私は、基本的には早いほうがいいということに同意いたします。ですけれども、親の心理なども十分に配慮して進めていくのが適切かと思います。
どのような方法で? |
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どのような方法で指導するかということですけれども、絵本とか、言葉を自然に使う場面で発話を楽しむということが、特に専門でないわれわれにできる具体的な方法ではないかと思います。誤った発音を正しく言いかえてあげるとか、あるいは一緒に言ってみるといったような、子どもが正しい音を聞いて、そして自分自身も正しく言ってみる、という機会をつくることが指導の基本だと思います。
年齢が高くなりますと、はじめ一緒に本を読んでいて、その伴奏をだんだんに弱くしていって、一人だけで読ませてみるといった指導もできると思います。
幼児期では、子どものモニター力を利用して、繰り返し、適切なモデルを示します。そして、学校に上がるようになったら、今度は、意識的に言語や器官を動かすことを言葉で説明し、教えていくといった指導が効果的ではないかと思います。そういう意味では、子どもの発達に合わせた指導というのが、やはり大事なのではないかと思います。
専門的には、遊戯療法であるとか行動療法など、指導の現場ではいろいろな方法が試みられているようです。
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