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第二十四回 母子健康協会シンポジウム 保育におけることばの問題と対応
4 討議(1)



前川 それでは、討議の部を始めたいと思います。
 皆さんから事前に寄せて頂いた質問がたくさんあります。似たような質問がありますので、まず簡単なほうからお答えいたします。
 まず、どもりとか幼児語についてですが、特に
幼児語の質問が多くあります。サ行が言えないとか、ラ行が何とかとかです。それについて、栗山先生からお願いします。

栗山 幾つかの質問を受けております。内容的にはかなり共通したご質問で、たとえば、「さかな」が「たかな」になるとか、あるいは「くすり」が「くつり」になるとか、あるいは、サ行がタ行になってしまうといったような例、あるいは、カ行が全く発音できなくて、「かきくけこ」が「たちつてと」になってしまうとか、あるいは、「さしすせそ」が「たちつてと」、「らりるれろ」が「だでぃでゅでぃぇでょ」などというふうになってしまうということで、こういったような場合には、直したほうがいいのかどうかという質問です。
 先ほども申し上げましたように、幼児期には少しずつ構音が完成していきます。そういう点で考えますと、発音ができないからといって、すぐに「それは間違っているからこういうふうに発音しなさい」と言うのは、子どもにとってはできないことを要求していることになると思います。そういう意味では、子どもができるかどうかということよりも、むしろこちらから正しい発音で言い直してあげる。つまり、モデルを示してあげるということが大事だろうと思います。
 小学校に上がって、自分の音が少しおかしいなと気づくことができる段階になりますと、これは、「あなたの発音はこういうところが違っていますよ」ということを説明して、言い直させることはできると思います。でも、その場合にも、子どもたちも自我ができてきますから、あんまり、ああやれこうやれと言われますと、嫌になってしまうこともあります。しかも、一回二回ではなく、誤った発音をするわけですから、その都度言われると、いいかげんに聞きたくない、ということで、かえってマイナス効果ということもあると思います。
 そのような場合には、さりげなく直して、正しい発音をモデルとして示してあげる、ということが大事ではないかと思います。
 強制するのではなくて、子どもたちが持っている、子どもたちが直そうとする力を生かせるような形で対応してあげる、ということではないかと思います。

前川 少なくとも、学校へ行かない前は直さないでください。ただ、先生方がサ行を言えなかったらだめですよ。その子どもはサ行が脳に入りませんから。小学校へ行くときに言えないのは、正しい音が耳に感知されていないのです。その言葉がしゃべれないというのは、幼児語としては少数例です。少なくとも保育園・幼稚園レベルでは直さないでください。ゆっくりゆっくりしゃべっていれば、自然と直ります。ですから、幼児語は、普通にしておいてください。大体、遅くても小学校二年、三年、四年生になると、ほとんど直ります。特別な脳の認知障害で、その子音だけがうまくわからない人は、特別に治療すればと思うのですけれども、それはいま栗山先生がおっしゃったとおり、言語の専門家でいいのです。幼児語はすごく質問が多いのですけれど、扱い方はそれだけです。

前川 それから次に、どもりについてですけれども、これも、栗山先生にお願いします。



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