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第二十四回 母子健康協会シンポジウム 保育におけることばの問題と対応
4 討議(2)



栗山 五歳児の男の子で、「どもりがひどくて、園生活には慣れたけれども、全くどもりが直らない」というケースで、「どう親にアドバイスをしたらよいか」「病院へ行く必要がありますか」という質問です。
 先ほどお話ししましたように、私は、やはり親が問題だとはっきり認識して、きちんと専門家の治療を受けたほうがいいということを受けとめているのであれば、しかるべき専門家を紹介して、専門の指導あるいは治療を受けることが適切だと思います。素人でもわかるくらいにどもりがひどいということだと思いますので、早目に専門家の指導を受けたほうがいいと思います。
 非常に小さい子どもの場合ですと、正常なのにどもったりするということもありますので、それとの見きわめだろうと思うのです。ですけれども、このケースの場合には、早目に専門家の意見を伺うのが適切だと思います。

前川 どもりを考えるときに、どんな子どもでも、最初の出だしがつかえることがよくあるのです。「ぼ ぼぼく」と言ったり、「お お おかあさん」とか。ところが、お母さんたちは、それをどもりと思う方がいらっしゃるのです。それは、言葉の上ではヘジテーションといいます。発音するときに、難しい音が出ないのと、親がせっかちで機関銃みたいにしゃべる子は、自分のことをやってほしいのでどうしても、「お お お おかあさん」とか、「あ あ あ いって」とか、つかえる。
 私がわからないのは、さっき、栗山先生が、どもりは遺伝的とおっしゃっていました。だけど、少なくとも、臨床の場で見ているどもりというのは、普通の子どもがつかえる、言いにくい言葉をどもりと解釈して周りが気にして、むしろそれを精神的なストレスとして、直すために、子どもが気にしてなっちゃったケースが多いのではないかと思います。
(図3) 図3を見て下さい。これはどもりの症状の立方体です。高さは、症状でどのぐらいどもるかということです。それから、横の辺は、それに対して本人がどのぐらい気にしているかということ。縦の辺は、周囲がどのぐらい気にしているかということです。症状がどのぐらいひどいか、本人がそれをどのぐらい気にしているか、周りがそれに対してどのぐらい気にしているかです。
 さっき栗山先生がおっしゃった第三段階、第四段階に行くには、結局、この一辺のどれがなくなっても、病的などもりにはなりません。だから、幾らどもりがひどくて、周りが気にしていても、本人が気にしないでどもっていれば、一生どもったって構わないのです。どもりの大部分はどちらかというと、生理的な、つかえることをどもりとして、特に出だします。途中でどもるのはまたちょっと意味があって、あとで秦野先生にしてもらいますけれども、それを周りが反応してどもりにしたものが多いのです。
 それで、そのときの対応としては、子どもが何かどもったときは、ゆっくり目を見て、子どもの視線に立って、ゆっくり言うことを聞いてあげる。それだけで大体直ります。それから、そういうお母さんに限って、早口のお母さんが多い。それから、せっかちで、何か言うと、「またーっ、」とやる人が多い。要するにゆっくり子どもの気持ちを聞くという感じで、初期対応をそのようにすれば大部分は直ります。




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