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第28回 母子健康協会シンポジウム 季節と子どもの病気
4.質疑応答(5)



― 乳幼児の保存水としてミネラルウォーターを園で準備していますが、ミネラルウォーターの中でもナトリウム、カリウム、マグネシウムの含有量が多く含まれているものと少なめのものがあります。どちらを用意したらよろしいですか

前川 いろいろな製品があるようですが、ちょっと難しくて私ではわからないです。水ということから言ったら、たくさんの変なものが含まれていないほうが子どもにはやさしいと思いますけれども、横田先生、市川先生はどうですか。
横田 私もよくわからないですけれども、あまりミネラルとかたくさん入っていないもののほうがいいのではないかと思います。ただ、お水というのは地域によってみんな違うわけですね。ヨーロッパに行くと、ミネラルを含んだお水が普通のお水として飲まれていたりしますが、そういうところで育った子どもたちに何か問題があるというわけではありません。市販されて、ちゃんとそれが確認されているものであれば問題はないと思いますけれども、ミネラルがたくさん入っていないもののほうが、私はいいのではないかなというふうに思います。あまり根拠はありません。
市川 例えば、ちょっと脱水気味だからそれで補正しようとか、そういう意識ではなく、ただ使う水ということであれば、どっちでもいいと思います。まあ、濃くないほうがいいかなと。
前川 あと、価格が安いほうがいいですよね、園の経営としては(笑)。それだけです。ミネラルウォーターの質問が出ましたが、ほかにイオン飲料がありますね。あれは、子どもが下痢とか嘔吐をした、そういう明らかに脱水のための治療に使ってください。普段は飲ませない。炎天下を歩いているときでも水でほとんど大丈夫です。小児科医というのは点滴が嫌いなんですよね。みずいぼを取るのも嫌だし(笑)。お母さんが下痢とか嘔吐で来て、そういうイオン飲料とかを飲ませなさいと言うと、飲んでいるうちはそれでよくなるんです。そうするとお母さんたちは、小児科医が勧めたのだからいいだろうと、普段でも飲ませてしまうのです。そうすると虫歯ができたり、ノドが渇いてかえって悪いことが起こりますので、病気のときだけと覚えてください。

― 熱中症の診断のポイントや重症の判断について教えてください

市川 熱中症は、いまちょうどイオン水の話が出ましたけれども、I度・II度・III度というふうに重症度を分けています。I度というのは、俗に言うこむら返しとか呼ばれている熱けいれんと熱失神です。II度はその中間の熱疲労。III度が熱射病です。代表的なのに日射病がありますが、これはI度とII度の中間といいますか、その領域で分類されることが多いです。
 診断は、I度は、体温はあまり高くはなりませんけれども、電解質とか水分の不足、いわゆる脱水が起こって、そのバランスが崩れて筋肉がけいれんする或いは抹消循環不全の状態になる。症状的には、急に元気がなくなるというところで判断していただいて、しかも、暑熱環境といいますか、とっても暑いところ、あるいは暑い時期ではなくても、すごくムッとした部屋に長時間ほとんど水分をとらずにいたとか、昼寝をしていたとかも含めてですけれども、そういう環境下にあって、何となく元気がない、目がうつろといいますか、視点が合いにくいといいますか、きちっと数秒間合わない。汗をたくさんかいていますので、湯気がゆっくり出ているとかいうことで、かつ、本人に元気がなければ…そういう感じで評価していただく。
 これが進行しますと、生あくびが出てきて、顔が青白い。熱が高い、8度を超えているのに顔色が悪い、そういう感じがII度です。日射病が一番わかりやすいですが、いわゆる炎天下でかなりの日光が当たって、長時間お風呂に入ったのと一緒です。ぬくもり過ぎて、とにかく熱を外に出そうとして汗をいっぱい出す。そうすると体の循環血液量のバランスが崩れて、心臓の脈が速くなる、血圧が下がってくるとかいうものを含めて、このII度とIII度というのは非常に危険域が短くてII度と安心していると危ないですね。だから、顔色が悪くて、そういう暑熱環境下に置かれた子どもさんが、すごく汗をかいて熱が9度を超えてきて、手足も冷たい。でも体の芯はすごく熱いという状態のときには、これは救急病院に一も二もなく走っていただきたいと思います。
 III度になったら、救急車とかそんなレベルではないです。我々でもII度、III度の区別がつかずに、II度と思っていてもIII度の治療、III度を予測して治療するのが一般的ですので、そういう意味では暑熱環境があったかなかったかというのが、一番診断を疑う根拠になると思います。重症度に関しては、II度、III度となるほど熱がどんどん高くなりますので、熱の度数で判断なさってもいいかもしれません。ただ、腋窩とか表在で測るときは、汗で濡れていると誤ってしまうんです。例えば直腸温とか鼓膜温では40度を超えるくらいになっているのに、腋窩で測ったら38度8分とか、そういうミスを起こしやすいですので、体温測定もそこまで考えて測って評価していただきたいと思います。
 III度になると、水分がもうなくなって汗が出なくなる。発汗停止です。みんながみんなではありませんけれども、そうなってくるとこれはもう本当に命の問題で、さらに高次の医療機関でないと助けられないということがあります。現実的には熱中症は毎年、何人も亡くなっておられますし、日常茶飯事で起こることですので、こうしてご質問をいただいて、そういう注意を喚起していただくとすごくありがたいと思います。
 まず暑熱環境。それから冒頭でお話ししました、北九州の、遊びで出かけて一人だけ車の中に置き去りにされたというか、気づかれずに、帰ってきたときには亡くなったというお子さんがいましたけれども、実験したら車中の温度が44度にもなっているんですね。それで数時間。そういう暑熱環境があるかないかというのが熱中症を考える上において一番大事です。
 ですから、特に行事などがある日は、その日の天候とかをきちっと前もって調べておいていただきたいし、同じ気温でも、子どもたちの体調で、耐え得る場合と耐えられない場合があります。一人ひとりの体調を細かく把握するのは非常に難しいとは思いますけれども、現実的にはいろいろなファクターで起こるということで、まず気候に関しては、行事の日の気候は十分押さえていただきたいと思います。
横田 日常外来をやっていると、熱を出して元気なお子さんを連れてきて、昨日外で長いこと遊んだから熱中症じゃないかといって来るお母さんたちが非常に多いのですけれども、元気であればそういう心配はしなくていいということです。皆さんもそのことを知っておいてください

― 溶連菌感染症で二十四時間内服していれば、保育園へ来てすぐに遊ばせてよいでしょうか

横田 大体24時間から48時間飲んでいればうつらないということになっていますので、来るのは構わないと思います。ただ、本人の様子次第です。最初に高い熱があってグッタリしていれば、もちろん静かにしていなければいけませんけれども、ピンピンしていてただノドが赤いというだけで、ほとんど症状なしに溶連菌が見つかることがあるんです。そういうお子さんであれば、元気であれば外で遊ぶのも構わないと思います。溶連菌だから一週間ずっと静かにしていなければいけないとか、そういうことはあまり根拠のないことだろうと思います。



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