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母親たちの奮闘と医学の進歩 |
熊本大学小児科教授 遠藤文夫先生 |
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ガスリー博士 |
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さてガスリー博士のことです。ガスリー博士は米国ミズーリ州オザークスという町で1916年に生まれました。ミネソタ州立大学で博士号を得て、その後ニューヨーク州バッファローの小児病院で研究者としての道を歩み始めました。
まったく偶然のことですがガスリー博士は40歳を過ぎて1957年に知的障害のある子どもたちのための地域活動に参加します。それは彼の息子が知的発達障害の小児に役に立つ研究者になりたいといったからです。この活動の中でガスリー博士はフェニルケトン尿症という病気があることを始めて知ります。またビッケル教授がその病気の発症を防ぐ食事療法を開発したことも知ります。同時に血液中のフェニルアラニン濃度を調べることが大変困難な検査であることも知ります。彼は微生物学者でした。そこで大腸菌を利用してフェニルアラニンを測定する方法の原理を開発します。これが1957年のことでした。
彼は医師ではありませんでしたが、この方法を用いて病気の子どもを簡単に診断できるようにするために研究をはじめ、1958年にそれまでの研究所をやめて小児病院の小児科に移り、フェニルケトン尿症の診断の研究をつづけることにしました。
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