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第二十四回 母子健康協会シンポジウム 保育におけることばの問題と対応
4 討議(6)



(写真)前川 つけ加えますと、部分的難聴というのがあります。普通、しゃべっている音が、五百から三千五百デシベルですけど、高音部とか低音部とかある部分が抜けている子がいます。そういう子どもは、一見、言葉が出るようで出ないで、発音がおかしいのです。いまは、聴性脳幹反応といって、寝かしておいて、すべての音の聴力テストができるのです。それが、早く気がつけばいいのですが、三歳とか四歳は、いま秦野先生がおっしゃったことの一部分に、意外と部分的難聴があるのです。
 ですから、そういうこともありますから、ただ聞こえるだけではだめです。もしご心配でしたら、どの部分からどこまで聞こえるのか聴力の確認をしてください。
 それから、いまの言葉が遅いということで、栗山先生お願いします。この問題は、三人おりますと、言うことが少しずつ違いますから、それだけ難しいということです。

前川 次に、障害を持っている子どもの言葉をどうするかという質問が二、三あります。「言葉の遅れに気がついたら早目の対応、とのことですけれども、指示障害や知覚障害、疑問をすぐに職員が持ちます。そのときどうしたらいいですか」とか、障害による遅れか発達の遅れかを見きわめる方法についてなどです。
 たとえば、知恵が遅れている親御さんたちは防御的に、言われるのが怖くて、それを認めない方もいらっしゃるわけです。皆様の立場からしたら、診断ではなくて、その子どもといかに接するか、ということだと思います。言葉というのはコミュニケーションですから、それ以外のコミュニケーションを探してあげればいいんです。それが五感です。いろんな表情とか何でも構わないから、声を出したら、こっちもそれを声に出してあげる。うれしいとき、悲しいとき、欲しいときとか、わかるでしょう。そのレベルによってこっちが応じてあげる。要するに、身振りにしろ、音にしろ、いろんな手つきにしろ、ゼスチャーでも何でもいいんです、それが、皆さん方とのコミュニケーションの手段として理解することが、まず第一番です。
 それから、五感の刺激です。抱いてあげたりほおずりしたり、少し大げさにやってあげたりとかです。自閉症や何かで目が合わない子がいますが、そういう子は、わりと狭い部屋でもって顔を見ながらゆっくり接することです。あるいは一日に何回か、犬じゃないけど、外へ出して追っかけっこする。いろんなことをしたほうがいいので、言葉ではなくてコミュニケーションの手段として、何かないかをまず探してください。そうすると、どんな障害の強い子でも、コミュニケーションする能力というのは、子どもは生きている限り持っています。目が動くとか、顔の表情が変わるとか、声出すとか、それがとっかかりです。さっき先生方がおっしゃった言葉の発達のレベルによって、それに応じたコミュニケーションの方法を過大解釈して教えると、だんだん言葉って出てきます。
 「言葉の遅れ」ということで、皆さんからいろんな質問がありますけれど、実はうちの娘が、言葉がすごく遅かったんです。二歳過ぎになっても言葉をしゃべらない。それで、心配になりまして、知っている言語の先生方に聞いたんですよ。そうしたら、私の子どもだからと誰も相手にしてくれなかった。いまうるさいぐらいにしゃべっています。そうしたら、今度、その娘の子どもが、やっぱり遅い。だから、何かそこらにあるのですかね。私自身がしっかりしているから、子どもも孫が遅くとも大丈夫だと思っています。そういう意味で、プライバシーになるかもしれないけれども、ある程度家系を見てください。お父さんとかお母さんが子どもの頃に言葉が遅くても、いま普通の人だったら、その子どもは大丈夫です。



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