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第25回 母子健康協会シンポジウム |
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保育と食育 |
1.子供の味覚の発達
神奈川県立保健福祉大学教授 前川 喜平 |
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味覚の発達と食育 |
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さらに不思議なのは、灯油を飲んじゃうとか、たばこを飲んじゃうとか、子どもの事故があります。「なぜこんなまずいものを飲むのか」ということがあります。これには2つ理由があります。1つは、乳児期から幼児期にかけて、味覚の数値の幅が広がって、好みがないですから、どんなものでも受け入れる能力を赤ちゃんが持つということと、子どもの発達過程で、乳児期後半から、何でも口へ持っていって味わって学習して覚えるという能力があるのです。
そういうことがあって、ある時期には、大人の常識では考えられない、灯油だとかを平気で飲んでしまうのです。それも一つの味覚の発達だと思います。「うまみ」とか「おいしい」なんていうのは、一体何だかわかっていないのです。色も、においも、味も、空腹感とかいろんなことが加味した複雑なものです。ですから、味覚の発達と食育ということからすると、単に食事が、おなかがすいて満腹になるだけではなくて、食べる楽しみ、一緒にいる人、つくる楽しみ、そういう楽しい雰囲気で食べるということと、さらに、規則正しい生活、適度の運動、楽しい食事の雰囲気というのが、発達から見て、将来につながるのではないかと思います。
子どもの味覚の発達というのはいろいろな理論があって、本当に正しいかどうかということはあまりわからない。ただ言えることは、生まれつき赤ちゃんはそういう識別の能力を持っている。ある程度味覚が下がってきて広がって、だんだん、与えられた幼児食によって、その人、個人個人の味覚の好みができるというのが、私がいろいろな本を読んで見ての、ある程度この解釈でいいのではないかと思っています。では、これで私の話は終わります。
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