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第27回 母子健康協会シンポジウム 子どもが育つ保育
3.絵本の読み聞かせ 〜心の処方箋〜
吉村小児科院長・日本小児科医会常任理事 内海 裕美



絵本の読み聞かせは、時間と空間と気持ちを共有


 私は地元の小石川医師会で「子育て支援セミナー」というのを毎月1回やっていますが、あるとき、「絵本の読み聞かせ」というテーマでやったんですね。いつも予防接種とか、熱が出たときとか、そういう話をしていたのですけれども、絵本の読み聞かせという話をしたら、毎回やって欲しいという要望が強くてその後毎回絵本の紹介、読み聞かせをやっています。例えば離乳食の話をしたら、食事風景の子どもの様子がよくわかる絵本だとか、病気の話をしたときは、病気のときに子どもがどういう気持ちでいるかというような絵本の読み聞かせを、テーマを選んでやったりとか、赤ちゃんが言葉を覚え始めるときにはどんな絵本がいいのかというときに、言葉遊びの絵本だとか、リズムを楽しむ絵本だとか、いろいろなテーマを持って紹介してきました。
 子育て支援センターでは6カ月、7カ月のわが子が、普通の話をしているときはザワザワしているんです。ところが、読み聞かせを始めると、赤ちゃんたちが母親の膝の上で背伸びをして絵本に食い入るんです。そんなわが子の姿を見て、「エッ、うちの赤ちゃんてこんな絵本に興味があるんだ」とか、お母さんがその絵本を手に取って、保育園の場で絵本の読み聞かせをするときは、たぶん1対多数だと思いますけれども、ご家庭の中で絵本の読み聞かせをするときは、普通はお膝の上ですよね。そうすると、さっきと同じスキンシップです。膝の上に抱いている赤ちゃんのこわばり方、喜んでいる弾みなんかも知ることができますし、赤ちゃんは赤ちゃんで、お母さんが膝の上に抱っこして同じ気持ちと時間と空間を共有することができるわけです。
 いまは、すごく忙しい、忙しいと言われていますから、ゆったりした時間の中で本当に子どもと向き合って、気持ちと時間と空間を共有する時間が少ないんですね。例えば夜寝るときに10分間読み聞かせをしてくださいといって、それを実行したら、ものすごい積み重ねになります。その10分さえもないぐらいの慌ただしさで、早く、早くという生活をしていますから、親子の読み聞かせを勧めていくのは、現代の親子関係には、とてもいいことだと思います。




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