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附)No.67/2003より
「子どもの心身を蝕む社会環境 NO.1」
こども心身医療研究所所長 冨田 和巳



自然共存と自然征服


 近代から第二次世界大戦までは「陽の没する所の無い」と形容されるほど植民地を持っていた英国が世界を支配していました。その大戦後から現代までは米国が世界を支配しています。英国はアングロサクソンが主流で、米国も主流はアングロサクソンです。彼らの祖先はゲルマン民族であり、中央ヨーロッパで太陽のあたらない痩せこけた土地の民族です。このように自然が人間に恵みを与えてくれない土地では、知恵のある人間は自然を恨み「征服しよう」と考えます。その上、台風や地震という天災もほとんど無い土地なので、征服思想は強固に形成されていきます。
 表1これに比べわが国は生きていくための基本になる衣食住に関しては自然の恩恵を他のいかなる国にも負けないくらい受けており、その上、海という自然が強固に国を「隣の大国(中国)」から守ってくれ、文化だけは入ってくる状態でしたから、当然のように自然に感謝する思考が生まれてきます。一方で地震や台風(雨という恵みもある)といった人知では防ぎきれない天災が多いのも特徴ですから、自然に畏れをもちます。この感謝と畏れが「自然と共存しよう」という思想を生んだのです。
 このわが国と西洋の決定的な思考の差をほとんど認識しないで、いたずらに欧米の思想や制度や文化を受け入れ続けているのが、戦後の58年間なのです。こうしてわが国のあらゆる分野で問題が噴出していると、私は考えています。
 わが国の文化と西洋文化の対比を、表1に紹介しました。表に関して詳しく解説しなければならないのですが、紙数の関係で母性社会と父性社会だけしか述べられませんので、詳しくお知りになりたい方は最後に紹介する拙書をお読みください。





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