小児の便秘の特徴
小児における便秘の頻度は決して少なくなく、また便秘症による問題がクローズアップされてきたことなどから、小児科の外来診療において便秘あるいは便秘症を診ることは増えてきている印象があります。
小児とくに乳幼児期における便秘の原因は成人とは大きく異なっています。乳幼児期では、摂取量不足やミルクアレルギーによる食事性便秘、肛門裂傷や不適切なトイレット・トレーニングによる習慣性便秘が多いですが、Hirschsprung病などの症候性便秘の可能性も十分念頭に置く必要があります。学童期になると、便秘の原因は成人と同様に食物繊維不足による食事性便秘や排便習慣の乱れによる習慣性便秘が多くなり、さらに心因性便秘や過敏性腸症候群による便秘なども認められるようになります。表1(1)に小児の便秘の原因を示します。
小児期に便秘を発症しやすい時期や契機として、①乳児における母乳から人工乳への移行、あるいは離乳食の開始、②幼児におけるトイレットトレーニング、③学童における通学の開始や学校での排泄の回避、の3つが知られており(2.3)、この点に関しても十分に念頭において小児における便秘症の診療を行っていくことが重要です。
小児の便秘症に対する診断および治療は、2013年に公表された小児慢性機能性便秘症診療ガイドラインを参考に行っていきます(4)。図1に小児の便秘症に対する診断と治療のフローチャートを示します。
【参考文献】
- 1. 清水俊明:便秘.小児科診療ガイドライン第4版,総合医学社,東京,2019,pp11-15
- 2. Di Lorenzo C : Pediatric anorectal disorders. Gastroenterol Clin North Am 30:269-287,2001
- 3. Hyman PE, et al: Childhood functional gastrointestinal disorders: neonate/toddler.Gastroenterology 130:1519-1526,2006
- 4. 日本小児栄養消化器肝臓学会、日本小児消化管機能研究会(編):小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン,診断と治療社,東京,2013,pp1-67