子ども達の脳と体の発達
文教大学教育学部特別支援教育専修 教授 成田 奈緒子先生
はじめに
近年子どもたちをめぐる問題が増加し、深刻化していることは看過できないと感じます。からだや学力、そしてこころの問題などが表面化していますが、私はこれらはほぼすべて「脳育ての間違い」が関わって起こっていると考えています。発達という言葉には色々な意味が含まれますが、子どもが生まれてから約18年間を通してその大きさや機能を成長させていくこと、と考えると、子どもが生まれてから約18年間にどのように脳育てを行うか、はその子どもの成人期の様子に大きく影響することは当たり前のことなのです。
今、大人の都合で子どもを夜遅くまで振り回している一方で、「脳育て」と聞くと「勉強」「習い事」と考えがちな現代の風潮が、さらに子どもを悪くしていっています。大人の生活時間に合わせさせられて、深夜にスーパーやコンビニ、居酒屋に出没する幼児や、「子どもの脳をよりよく育てるために」と英会話やベビースイミングに幼児期から通わせられる子どもたち。本当に大切なことを見落として、歪んだ脳育てをされてしまった子ども達をたくさん診ている立場から、本稿では医学・脳科学からみた「正しい脳の育て方」について解説してみたいと思います。
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