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寄稿「子どもの検尿検査と腎疾患について」

徳島大学大学院 発生発達医学講座 小児医学分野 教授 香美 祥二先生

3歳児検尿、学校検尿

検尿検査には母子保健法、学校保健法により定められた3歳児検尿、学校検尿がありそれぞれが各自治体の保健所や学校で毎年行われています。検尿の目的は、子どもの腎疾患を早期に発見して早期治療することにより腎不全(腎臓の働きを失った状態)への進行を防ぐこと、日常生活の質(QOL)の改善を図ることです。尿は腎臓で血液が濾過されたものが尿路(尿管、膀胱、尿道)を通過して排泄されたもので、この過程に障害があると尿異常が生じます。尿異常は、尿量、比重、色調の異常、尿に含まれる生化学成分(総蛋白、アルブミン、トランスフェリン、糖、ケトン体、NAG、β2—ミクログロブリンなど)の異常、尿を遠心して得られる尿沈渣成分(赤血球、白血球、円柱、結晶)の異常に分けることができます。子どもにおける尿異常は検尿検査をきっかけとして発見されることが多く、子どもの腎疾患の早期発見の手がかりとなっています。尿検査は試験紙(テステープ)を用いて行われることが一般的で、紙が尿中に含まれる赤血球やアルブミン(蛋白質)に反応し、それぞれ尿潜血や尿蛋白が陽性(+)あるいは陰性(−)と判定することができます。地域によっては、尿糖を同時に試験紙で判定し子どもの糖尿病の早期発見に努めているところもあります。検尿の際に注意すべきことがあります。子どもには立ったり動いたりすると尿に蛋白が漏れ出てしまう体位性蛋白尿というものがみられることがあるのです。子どもの検尿ではこれを除外するために朝起きた時すぐに排出した尿(早朝第一尿)を取り検査することを基本としています。体位性蛋白尿の原因は不明ですが腎臓内の血液の流れが関係していると考えられており、学童期や思春期で最も多くみられています。

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