第34回母子健康協会シンポジウム 「子どもたちの遊びと体づくり」
4.総合討議(3)

この間、園内研修をやったときに、4歳児の子どもたちが庭で遊んでいたんですね。そこに1歳児の子どもたちが自然に入っていったときに、4歳児の担任が、“来ないでオーラ”を出していなかったというふうに1歳児の担任が言ったんですね。やはり、邪魔されたくないのではないかとか、そういう意識がどこかにあると、保育士同志もそういうふうな表情になってしまうんだなというのをすごく感じたんです。

でも、そこで1歳児の担任が、4歳児の担任も受け入れてくれているんだ、子どもたちも自然にそれを受け入れられるというところが、自然なかかわりだなというふうに思っています。ですから、4歳児の子どもたちは、小さい子たちにちゃんと受け入れられる姿勢ができているというのを研修で話されたのが、すごく印象的でした。ですから、時間とか、曜日というこだわりはなく、遊びたいときに遊ぼうと。ただ、例えば5歳児が使いたいよというときだけは保障してあげようということを、職員の中で連携し合っています。

園庭は2つに分かれてはいますけれども、保育士の配置というところでは、遊びに応じて、年齢問わず、そこに子どもが来たら一緒に見ようというふうにしています。定数はあるので、そこはちゃんと守っていかなければいけないと思いますけれども、何人入れたから何人ねというふうな決まりはつくっていません。お互いに見合うように意識しているところです。

それから、「風呂マット、タイヤの数はどのぐらい必要ですか」というご質問が何件かありました。数に関しては、東間先生から後でお話ししていただきたいと思いますけれども、たくさんあればあったほうがいいということで、タイヤは、たまたま近所に整備工場がありまして、古タイヤを廃棄するときに譲っていただいています。ビールケースも、酒屋さんに行くとちょっと譲っていただけるということで、折りを見ては声をかけて譲っていただくようにしています。

角材も、実際角材で遊ぶことはないんですけれども、おうちを建て直しているところに行っては、この角材、譲ってもらえますかと声をかけたりしています。そういうところで工夫しながら、ただ歩かないで、何か見つけてこようねと言いながらやっています。そうすると、意外といい物がもらえたり、そこからまたいろんな遊びに広がっていったりというところでは、道具を探すのもすごく楽しいと思っています。

それから、ターザンロープをシーツでというところでは、シーツは縫い目があると思うんです。編み方と言いますか、布の縦と横みたいなところも考えながら、三つ編みをしています。そうすると結構頑丈になる。ただ、だんだん使っていくと古くなってしまうので、そこは定期的に点検したり、つくり直したりということは必要だと思います。

ロープのことに関しては、東間先生の本に載っていますね。ロープは太いほうがいいと思いますけれども、今使っているロープは、子どもの手でつかめるような太さなんですね。でも、型が結構しっかりしているので、丈夫だと思います。ただ、擦れていったりすると危険につながるので、点検は必ずしなければいけないと思っているところです。

では、東間先生、数のほうはお願いしていいでしょうか。

東間数は、まず、園庭がどのぐらい広いかということもありますけれども、狭い園庭でも遊具が多種多数あると、たくさんの子どもが遊べるということを、先ほどからお伝えしていますが、ちょっと計算してみてください。例えば、園庭があるとしますね。ここに100人の子どもたちがいるとします。工藤先生がおっしゃったように、できれば、小さい子も大きい子も一緒に遊んだほうが、異年齢がお互いを見られるわけです。一緒に遊ばなくてもいいんですよ。お互いを見られる。とてもいいことなのです。

それを前提としますと、100人いると、まず、散歩に行くのが半分か3分の1ぐらい。3分の1、30人、散歩に行ったとします。そうすると、残りが70人ですね。この70人分の遊べるものが園庭にどれだけあるかということを数えてください。仮に20人、固定遊具や砂場で遊べるようにします。そうすると、70人から固定遊具で遊ぶ者を引くと50人。この50人が遊べる物。50人のうちで、もしかしたら集団遊びはやるかもしれないけれども、もし集団遊びをやらなかったら、50人分の物を用意すればいいわけです。

そうすると、私、先生方に伺うの。50人の子が可動遊具で遊ぶ場合は、例えば、1人の子が可動遊具でいろいろな組み合わせを考えるとしたら、何個あったらいいと思いますかと言うと、先生たちが指を出して、「そうね、2つの組み合わせじゃつまらないわね。まあ、3つかなあ。4つあれば相当の組み合わせができるかな」というふうに先生方が答えるんですよ。仮に1人4個だとする。そうすると、4×5=20、200個の可動遊具があったほうがいいねということになるんですね。そうするとその途端に、「エーッ、200個!? もうだめです、そんなものとても買ってもらえません。とても場所がありません」、こういうふうにお答えになって、そこでパッと切れちゃうんですよ。

そこで、私のホームページに書いてありますけれども、200個の可動遊具は、一体幾らで買えるものなのかというと、それをごらんになってください。東間で検索すればパッと出てきます。多分、締めてヨンキュッパだったと思います。4万9,800円だったら公立保育園でも買えます。あとは、タダのものをいただいてくるんです。こちらでタイヤをもらったとか、畳屋さんへ行って古いござをもらってくるとか、そうやって……。

ですから、子どもを遊ばせようと思ったら、先生の努力というのは、今までは、子どもたちが遊んでいるのを見て、危ない、危ないというのを探すのが先生の役目だったのです。それで注意してやめさせるのが先生の役目だったんですよ。ところが、これから以後は、あそこがもっと欲しい、これはどうやって集めたらいいのだろうか、どうやって置いたらいいのだろうか。これで遊んでいるけど、この後、どんな遊びをするのかな、これ、ちょっと危なさそうなのをやるかなとか、そういうのを見るのが先生の役目になってくるんですね。それだけの先生の力があればあるほど、子どもたちはすごく安心して遊べます。

あと、例えば、大きい子も遊んでいて異年齢も遊んでいるというと、0・1・2歳が出てくる。いやあ、これは困ったことだと。一番嫌がるのが年長、年中の先生。1歳、0歳が出てくるとがっかりするわけですよ。「嫌だなあ、うちの子どもたちがあの子たちをすっ飛ばしたりしたらどうしよう」と。嫌でしょうがないんですね。

ところが、私がいた保育園では、来ると喜ぶのね。普段、0・1・2歳には触れないから、「わあ! 来た、来た、こっち来て」といって喜ぶの。「その差は何か」というんです。要するに、0、1歳に本当にしっかり身体能力ができていると、ヒョコヒョコ出てきても大丈夫なんです。それを先生たちが見て、「もうヨタヨタしていて、歩き方もできてもいないのに、外に出すな」と思うのか、「オッ、意外といけるじゃない、この子たち平気だよ」と思うのか、そこが0・1歳の先生の手腕なんですよ。そこで0・1歳の子が、しっかりとした足どりで、しっかりと視野を持って自分の行き先を見て歩けるぐらいになるかどうかということを、保育室の環境多種多様の遊具でもってやってほしいんです。保育室の環境がしっかりしたら、子どもたちがしっかりした足取りで外に出られるんです。ぜひ、お願いしたいと思います。

もう一つは、先ほどビールケースのお話が出ましたけれども、ケースというのは、ビールだけではなくて、酒のケースもあれば、牛乳のケースも、いろんなケースがあります。ですから、私の本はケースのことは何も書いてありません。だって、一つ一つ違うし、使い方もいろいろでしょう。そもそも子どもが遊ぶようにはできていませんから、積み重ねても重ね方がとても弱いんです。だから、ポンとやればツーンと滑るのです。

いろいろなところから聞きますと、皆さんが、自分のところにあるケースの性質をよく知っていて、これは三段以上はダメです。だから、三段積んだら上に乗らないという約束になっています、というところがわりと多いですね。

例えば酒のケースですと、二段積んだらのぼれないというのです。だから、これはのぼらないから大丈夫なんですというところもある。そういうふうに、遊具ではないものを入れるときには、一つ一つの園で、どういうふうに使えるかとか十分に見て、それで、お約束をするのは仕方がないと思うのね。だって、遊具じゃないもので遊ぶのですから……。そういうことでもって、一つ一ついろいろな物を持ちながら遊んでください。

ターザンロープも、シーツでもそうですね。普通のクレモナロープというのは、強度が測ってありますから、直径何センチで何キロ大丈夫ですよというのが出ていますけれども、自分たちでつくれば、しょうがないから、先生が毎日ぶら下がってみる。そうすると、1人がぶら下がると50キロでしょう。50キロとすると、幼児が3人ぶら下がる、そういった重さですよね。だから、毎日ぶら下がってみて、あ、切れないなと思ったら、多分、大丈夫なのではないかとか、そういうふうにいろいろなさってみてください。

工藤確かに新しい物を取り入れるときは、保育士が一回試したりもするんですね。どの程度のものかというのを実感しないと、子どもたちの遊びには広がらないかなということも意識してやっています。

それから、「階段の滑り台に体育マットをのせるときの固定の仕方」というご質問でしたけれども、階段には両方に手すりがついていると思いますが、体育マットにも、ちょっと引っかけるのがありますよね。そこで結んでやっています。そうやって固定しています。やはり東間先生もおっしゃったように、そこの環境の中でどう安全を守ってやるかというのは、先生たちが考えてやることなのではないかと思っています。

やっているうちに、だんだん体育マットがズリズリ下がってくるんですけれども、そこを子どもたちが引っ張ったりもするんですね。1歳とか、2歳の子たちが、自分でやろうなんていう姿も見られますけれども、保育士がきちんと安全面を考えてやっていかなければいけないのではないかと思っています。

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