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子ども達の脳と体の発達

文教大学教育学部特別支援教育専修 教授 成田 奈緒子先生

最初の数年は大人が我慢して生活リズムを徹底しよう

大人の都合に合わせて夜遅くまで外に連れ歩かれている乳幼児や、幼児期から塾だおけいこだと夜まで出歩いて就寝時刻が遅くなる子どもたちは、本当に不幸です。今まさにからだの脳を作っている最中の子どもの生活を太陽のリズムから遠ざけてしまうことがいかに恐ろしいことか、大人は知るべきです。育児で最も大切なポイントとは、最初の5年間の大人の我慢と根性だと私は考えています。遊びたい(もしくは遊ばせたい)、テレビを見たい(もしくは見せたい)、もう少し仕事をしたい、と考えがちな大人たちこそがまず我慢して、何が何でもとにかく子どもを8時までには寝かせる、そして朝は7時までには起こす、ということを根性で優先していただきたいのです。それ以外は、生きてさえいれば大丈夫です。そう考えると、お風呂に入らなくても死なない、絵本の読み聞かせは省略しても死なない、でもご飯は食べないと死ぬ。ただし、手の込んだご飯ではなくても、死にさえしなければOK。じゃあ今晩は納豆ごはんで済ませて、とにかくさっさと寝かそう!そんな思考回路を大人が持つだけで、子どもの生活は簡単に変わります。極めてシンプル、そして大人にとっても、子育てが早く楽になるための方法なのです。なぜなら、繰り返しの刺激を与えてからだの脳がしっかり頑丈に出来上がれば、5歳を過ぎたころには、夜は勝手に眠くなり、朝は自分で目覚めてすぐに空腹を感じて食事をしっかり摂って学校に行きます。親や塾の手を煩わせずとも学校での刺激でしっかり「お利口さんの脳」が育ちます。一言で言えば「手がかからない子」になるのです。さらに子ども自身は、そうやって親の手を煩わせなくてもちゃんとできる自分は「価値ある人間」と思うことができ、「こころの脳」の育ちも順調で、自立や社会への巣立ちが早くなります。

逆に、乳幼児期から「お利口さんの脳」の刺激とばかりに塾やおけいこ事に通わせ、その結果就寝時刻が遅く、外遊びの時間がなくなると「からだの脳」が育たずバランスを崩します。そうすると、寝付きも身体の調子も悪く、朝から食欲がなかったり、吐き気や頭痛が起こったりします。親にとっていつまでも「心配な子」だと、子どもに自信は生まれません。「こころの脳」もうまく育たないので「どうせ自分なんて」と社会に出ることをためらうようになります。冒頭に挙げた様々な子どもの問題の元凶が脳育ての間違いだとわかっていただけましたか?「社会で自分を役立てたい」と考え、自分の能力を生かして活躍できる人間になることが最も人間として高度な育ちであると思うのならば、まず何よりも「からだの脳」育てが優先されるべきなのです。

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