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子ども達の脳と体の発達

文教大学教育学部特別支援教育専修 教授 成田 奈緒子先生

いつからでも作り変えられるからだの脳

 ところで、「からだの脳」は生命維持に欠かせない重要な脳なので、とても可塑性(かそせい=作り変えられる能力)に富みます。乳幼児期を過ぎてからでも、生活のリズムを変えることで刺激が入り、良くも悪くも作り変えられるものなのです。子どもだけでなく大人でも「ぐっすり寝て、きちんと食べて、しっかり遊ぶ」がうまくできていないと、仕事の効率が落ちたり、心がネガティブになったりして、極端な場合には「うつ病」になります。特に現代人では睡眠時間が短いことと睡眠の質が悪いこと、そして食事が不規則で栄養バランスが崩れていることが問題です。睡眠は「からだの脳」の育ちだけに関わるのではありません。23時〜2時ごろ、熟睡している脳内では成長ホルモンが分泌されて骨などの成長、体細胞の修復や改善が行われます。さらに、入眠から5〜6時間後には、脳神経のつながりの再構築が行われ、前日入った知識や記憶を整理します。つまり、しっかりと眠ることは長生きのもと、体格体力向上のもと、そして頭が良くなるもとなのです。また、規則正しくバランスのとれた食事は脳と体の構築を支え、機能を維持します。脳の神経細胞はアミノ酸やたんぱく質からできた神経伝達物質を使って働きますし、その神経細胞はブドウ糖をエネルギー源とします。ですから、新しい脳をうまく使って勉強したりスポーツをしたり仕事をするために食事は欠かせない燃料なのです。まさに脳と体の発達のカギを握るからだの脳育てを、もっと意識するべきです。

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