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子ども達の脳と体の発達

文教大学教育学部特別支援教育専修 教授 成田 奈緒子先生

大人から良い脳作りを

私は小児科医としてたくさんの子ども達とその保護者に接しています。社会にうまく適応できない子ども達も増えていて、子どもの精神心理疾患に対する投薬治療の方法も増えてきています。でも、本当は薬を飲むより前にしなければならないことがあると私は考えます。それは、「家庭生活を見直し、家族全体の脳を育て直すこと」です。発達障害や不登校、不安障害など脳の機能(働き方)にアンバランスさがある脳には、特に順番とバランスをきちんと考慮した脳育てが重要です。実際、私の外来では多くの子ども達が、「きちんと寝て、朝陽と共に起きて、3食きちんと食べる」生活を取り戻すだけで、本当に状態が良くなっていきます。でも、そもそも家族、特に大人の脳がうまく機能していない家庭では、それはとても難しいことですよね。

本当にからだの脳がうまく機能していれば、朝は快活に目覚めて食欲旺盛で活気にあふれているはずです。また、お利口さんの脳が働くことで、仕事や家事の効率も良くなるはずです。さらにこころの脳が働くことで、家族のことだけでなく社会全体に興味を持ち、自分を社会で役立てる方法を考え、実行できるはずです。でも今は、残念ながらその真逆の大人が多いように私は感じます。寝付きも悪く睡眠時間も短く、食欲もない。それでも仕事は頑張っているけれども思ったように効率が上がらない。さらに家族のことで頭がいっぱいで、自分の家族を守ろうとするあまり、他者に攻撃的になりやすい。そんな親のもとで、子どもの脳がうまく育つはずもありません。そんな悪循環を断ち切るためには、まずは「正しい脳の育て方」を大人に学んでほしいと、私は2014年4月に、「子育て科学アクシスhttp://www.kk-axis.org/」という事業を立ち上げました。この活動を通じて一人でも多くの大人たちに、次世代の社会を良くするためには、まずは根性で自分の生活を変えることからである、ということを知っていただきたいと考えています。

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