2.子どものコロナ罹患後症状
COVID-19罹患後の急性期を過ぎても様々な症状が続く患者がいることが国内外で明らかになっています。未だ原因は分かっていませんが、WHO は「COVID-19後の症状は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないものである」としています。これをLong-COVIDと呼ぶようになり、情報の収集が行われ様々な治療が試みられています。成人の場合は倦怠感、感覚過敏、脱毛、頭痛、集中力低下、味覚障害、嗅覚障害などの症状のいずれかが続く割合は3割近くあるとされています。そのなかで、子どもでも同様の罹患後症状を訴える患者が明らかになりましたが、子どもの場合は異なる定義が使われています。(表1)
表1.小児(17歳以下)におけるCOVID-19 罹患後症状の定義
子どもの罹患後症状は感染者の3-4%程度と成人より少なく、更に乳幼児では年長児より少ないとされています(4)。しかし、流行の規模を考えるとかなりの患者が苦しんでいることになります。なかには、心筋炎や血栓症など明確な合併症が明らかになる場合もありますが、多くの場合は検査などで身体の異常が見つかる事はありません。一部の検討では、血液中の抗体の有無と、症状の有無には関連がみられないことも報告されていて、この多感な年齢における症状はCOVID-19のみで起こるものではないことを示唆しています。ただし、個々の患者さんにおける症状とCOVID-19の因果関係が明らかにならなくても、罹患後にそのような症状が続いているのは事実です。罹患後症状は急性期の症状である味覚障害・嗅覚障害や咳がそのまま続くパターンと、急性期からいったん回復した患者がその後強い倦怠感などを経験するパターンがあります。症状は多彩ですが、子どもの場合は倦怠感が続き、記憶力や集中力の低下を伴うことが多いようです。このような状態になった時に、日常生活や学校生活に伴う、身体的・精神的なストレスに耐え切れず、不登校になり、抑うつ気味になる場合も少なくありません。
【参考文献】
- 4. 編集委員会 罹. 新型コロナウイルス感染症 罹患後症状のマネジメント 第2.0 版2022/10/14, 2022.