3.COVID-19が子どものこころに与える影響

流行初期は感染者を完全に隔離する目的で、子どもでも症状が無くても、一定期間隔離を強いられ、幼児であっても家族と分離され入院することが求められる状況でした。また、報道機関にも大きく取り上げられ、匿名性を担保するには困難な状況となり、罹患者への差別や偏見がもたらす影響も少なくありませんでした。COVID-19流行初期に15-29歳を対象とした調査では、背景にCOVID-19に対する恐怖、COVID-19に関連した差別、家庭内暴力、家庭内に要介護者が存在する場合に、深刻な心理的苦痛に悩まされるリスクがあがると報告されています(5)。現在では、罹患した際の心理的な負担は当初と比べると下がっていると思われますが、一定期間の隔離措置を伴う対応の影響は少なくありません。

感染対策に伴う各種制限は、罹患の有無にかかわらず全ての子どもに心理的なストレスを与えてきました。これは、うつ、トラウマ症状、ゲーム障害・ネット依存、不登校、摂食障害、自殺者の増加、など様々なかたちであらわれています(6)。(表2

表2.子ども達の心に与えている影響(国内報告)

表2.子ども達の心に与えている影響(国内報告)

子どもは本来、適度なストレスに対応して、成長につなげる能力をもっています。「こどもが考えた「気持ちを楽にすごす23の工夫」」には、誰かに話す・聞いてもらう、声に出す、書き出す、絵をかく、歌う・音楽をきくといった比較的簡単に出来ることが記載されていて、周囲の大人はその力を引き出すつとめがあります。(国立成育医療研究センター:https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/report/cxc05_coping20210525.pdf)

【参考文献】

  1. 5. Yoshioka T, Okubo R, Tabuchi T, et al. Factors associated with serious psychological distress during the COVID-19 pandemic in Japan: a nationwide cross-sectional internet-based study. BMJ Open 2021;11(7):e051115. doi: 10.1136/bmjopen-2021-051115 [published Online First: 2021/07/07]
  2. 6. 半谷まゆみ. COVID-19が子どもたちの心に与えている影響. 外来小児科 2022;25(1):33-39.