1.はじめに
「新生児マス・スクリーニング」あるいは、「新生児スクリーニング」という言葉をご存じでしょうか?日本で生まれるほぼすべての赤ちゃんは、生後4~6日目に踵に針を刺して小量の血液を採取されています。採取された血液は特別なろ紙にしみ込ませ、産院や病院から検査センターへ送られて、先天性代謝疾患や先天性内分泌疾患の検査が行われます。このすべての新生児を対象とする検査は、1977年に全国自治体の事業として開始され、多くの赤ちゃんの先天性疾患の早期発見・早期治療に貢献しています。一般の方々はお子さんの出生時に新生児スクリーニングの説明を聞く機会があるだけで、しかも検査対象は稀な疾患が多いため、この事業の存在自体をご存じで無い方もいらっしゃると思います。そこで、ここでは新生児スクリーニングの歴史、目的、概要を解説し、事業の必要性をご理解頂くと共に、今後の将来の新生児スクリーニングについて書きたいと思います。