1.触れ合いの子育ての実際(3)
スマホ育児、メディア依存症、要支援家庭で触れ合いが不十分な親の対応です。とにかくお母さんの話を聞き、親も子どももまるごと受容することが必要です。理想としては、保育士さんがそばにいるだけで気が休まる関係になれば、これはもう最高でございます。
子どもに対しては、担当者が触れ合い子育てを実践するわけです。普通の保育園や幼稚園では、意識して職員がその子どもに触れ合いをしますと、だんだん、かわいらしい乳児、幼児らしくなってきます。いわゆる子どもらしさが出てくるということでございます。
お母さんにお子さんのその様子を見せますと、子どもを育てようと思っているお母さんは何となく母性が誘発されるんですね。そうしましたら、触れ合いの仕方を一緒に学習するわけでございます。
これ、山本五十六と言ってもわからないよね? ここにいらっしゃる方はほとんどわからないと思うけれども、「してみせて、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば親は育たじ」と言います。山本五十六は「人は育たじ」ですが、これは保育園なので「親は育たじ」ということです。
こういうことをいたしまして、子どもが大きくなって、また来たい保育園や幼稚園になれば最高でございます。親子が共に育つ「共育」を達成することでございます。
家庭におけるメディア漬け脱出の方法ですが、お母さんたちに言ってほしいことは、
- ①食事のときはテレビをつけない。
- ②メディアを使用する時間と空間を1日2時間まで。
(子どもと遊んでいるとき、リビングや寝室ではメディアの使用を控える) - ③月に1回、ノーテレビデーをつくる。
- ④子どもが少し大きくなりましたら、家の手伝いを
させたり、楽しい雰囲気で食事や子どもと一緒に遊ぶことを意識して行います。
これが触れ合いの子育てでございます。
それから、乳児では「抱きしめてオッパイ」です。もうこの一言です。
また、泣いたら声をかけて抱きしめる。これだけで十分赤ちゃんの心は安定いたします。
楽しい親子遊びというのは、いわゆる、ゆらゆら揺れる空中のブランコ遊びです。
それから、パパが一緒にする、大空を飛ぶスリルも味わう飛行機遊びです。
次は、親子で動く影を踏む影踏み遊びです。これも子どもは喜びます。
しっぽをつけて、しっぽの取り合いとか、そういうこともわりと子どもは喜びます。
これによって、親子の触れ合いと子育てが楽しくなるということを仕向けるわけでございます。
一番の問題は、お母さんが、自分の好きなところがない。要するに、子どものころ、まるごと受容されていないお母さんがいます。お母さんが自分を好きでないと、子どもを好きになれないわけです。ですから、そういうお母さんに対しましては、お母さんの良いところを見つけて、お母さんをまず褒めて、お母さんが自分のことを好きになるように仕向ける。そうすると、お母さんが自己肯定感を持つわけです。それで子どもと触れ合う第一歩ができるわけです。
これは、「パワー・オブ・タッチ」という、Phyllis K. Davisの「わたしにふれてください」という詩です。最後にこの詩を紹介します。
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- もしわたしがあなたの赤ちゃんなら
- どうぞ、わたしにふれてください
- 今までわたしが知らなかったやさしさを
- あなたからもらいたい
- おふろにいれてください
- おむつをかえてください
- おっぱいをください
- ぎゅっとだきしめてください
- ほおにキスしてください
- わたしの体をあたためてください
- あなたのやさしさとあなたのくれる快楽が
- わたしに安心と愛をつたえてくれるのです
- もしわたしがあなたのこどもなら
- どうぞ、わたしにふれてください
- いやがるかもしれないし、
- 拒否するかもしれないけれど
- 何度もそうしてください
- わたしがどうしていやがるのかわかってほしいから
- おやすみなさい、と抱きしめてくれるあなたの腕が
- わたしの夜を甘くしてくれる
- 昼間に見せてくれるあなたのやさしさが
- あなたの感じる真実をつたえてくれる
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とにかく、自分が好きで、肯定感があって、子どもを育てたい気持ちがある。それから、赤ちゃんがかわいい。大好き、好きだというお母さんは、スマホ育児をしていても対応の仕方がいくらでもあるということでございます。
私の話はこれで終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございます。(拍手)
引用文献
- ・月刊赤ちゃんとママ増刊2017秋VOL.151 (株)赤ちゃんとママ社
- ・タッチケア マニュアルⅡ 乳・幼児編 日本タッチケア協会