3.出血の原因と代表的な疾患

出血は、止血機構に関与する、血管、血小板および凝固のいずれの異常でも起こります。

(Ⅰ)血管の異常(表1–①参照)

外傷は血管壁の損傷を招く最も頻度の高い原因です。IgA血管炎は小児科外来でよく遭遇する疾患です。両下腿前面を中心に丘疹様の点状出血が特徴的です。しばしば、腹痛を伴います。また、血尿や蛋白尿を呈し、IgA血管炎性腎症を発症することがあります。

表1 ― ① 小児の原因別出血性疾患 Ⅰ.血管の異常

(Ⅱ)血小板の異常(表1 – ②③)

血小板の量的異常と質的異常があります。出血症状は点状出血、口腔内出血、鼻出血などが多いです。代表的な原因としては血小板産生能低下、血小板寿命の低下、血小板の消費亢進が挙げられます。

表1 ― ② 小児の原因別出血性疾患 Ⅱ.血小板の異常 1.血小板減少
表1 ― ③ 小児の原因別出血性疾患 Ⅱ.血小板の異常 2.血小板機能の異常

(Ⅲ)凝固異常(表1 – ④)

先天性凝固異常症として、血友病を代表とする先天性凝固因子欠乏症、後天性凝固異常症としてはビタミンK欠乏症、DIC、後天性凝固因子インヒビターなどが挙げられます。症状は深部出血が多く、皮下血腫を伴う斑状出血、関節内出血、筋肉内出血、血尿などがみられます。

表1 ― ④ 小児の原因別出血性疾患 Ⅲ.血液凝固異常 1.凝固因子の質的量的異常