1.触れ合いの子育ての実際(2)
「子どもは触れ合いにより育つ」と言われております。触れ合いとは、愛情を込めて行うスキンシップを言います。触れ合いは愛の言葉(Touch is Lan guageof Love)と言われ、子どもが育つ原則でございます。
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スマホ育児やメディア依存では、触れ合いが不十分で、愛情の絆が十分形成されておりません。これらの子どもの具体的な対応についてお話をいたします。
メディア依存症は、愛着形成が障害されていますが、特にスマホやメディア漬けの子どもによく見られる症状は、ここにあるとおりです。
- ①名前を呼んでも振り向かない。
- ②視線が合わないことがある。
- ③言葉が遅れる。一方的に話す。
- ④落ち着きがない。
- ⑤表情が乏しい。
- ⑥テレビやDVDを消すと怒る。
などがこれらの子どもたちに見られる症状です。
園における触れ合い子育てについて、次にお話し申し上げます。
保護者の良い、悪い、子どもの良い、悪いなどを全て丸ごと受容することが第一です。子どもの現在の状態が、親の養育態度と関係ないと考えて接することが大切です。スマホを使っていて、それが今の状態と関係しているということが心にありますと、なかなか親の丸ごとの受容ができないからです。
そして、子どもに情愛を込めて話しかけたり、抱きしめたりの自然のスキンシップを行います。
子どもが喜ぶことを一緒に遊ぶ。世話をする人も喜びを感じれば最高でございます。乳幼児は有能性――ある月齢になると、決まったことをして喜ぶという特性を持っています。その乳幼児の有能性を利用して、子どもの決まった月齢で喜ぶことを一緒にして遊ぶことが大切でございます。
これはうちの娘ですけれども、2カ月ぐらいのときに、「あ~あ~、ウックン」と笑うと、顔じゅう口にして笑う顔でございます。本邦初公開でございます(笑)。これは、お手てパチパチです。次のこれは、何とかちゃんと言うと、ハーイと返事をするものでございます。
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それから、よく行われるのが、若いお母さんでも行う「いない、いないバー」でございます。これは生後6カ月ぐらいから喜んで行います。
もう少し大きくなりますと、今度は、布をかぶって子どもに取らせます。これは、乳児期後半から幼児期前半の同じような遊びでございます。
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とにかく面倒を見ている方は、泣いたら声をかけながら抱きしめる。そういうことが大切でございます。
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触れ合いというのは五感の刺激が多いほど効果があります。声をかけながら抱きしめる。
- 視覚:やさしい眼差し。
- 聴覚:愛情がこもった声。
- 触覚:子どもが安心する抱きしめ。
- 嗅覚:お母さん(女性)の匂い。
赤ちゃんは好き、好き、好きと抱きしめるだけでも子どもの心は安定いたします。
次は、絵本の読み聞かせです。家庭ですと、1対1で読み聞かせるときは、お母さんの膝に乗せてしますが、保育園や何かですと、2人あるいは数人、こういうことで絵本の読み聞かせをいたします。
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これも子どもが好きなことですね。子どものサインに世話をする人が応え、世話をする人も子どものサインに応える。ですから、お互いに触れ合うわけです。そうすると、世話をする人と赤ちゃんの間に好ましい人間関係が成立するわけです。このことが、子どもの安心感と心の発達を促進します。
幼い子どもの世話をいたしますと、なぜたり、抱きしめたりする機会が自然と多くなってきます。そのことは、子どもが親にたっぷりと触れられたのと同じことになります。こういう身体的な接触、生身の触れ合いによって、子どもの安心感と人に対する親密さが増加するわけでございます。
触れ合いは五感の刺激が多いほど効果があります。この延長線上にあるのがタッチケアでございます。愛情を込めて世話をする子どもにタッチケアをするのもよいでしょう。
タッチケアの手技については、皆様のお手元にあります『ふたば81号』に載ってございますので、それをご参考にいただければ役に立つのではないかと思います。
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