4.総合討論(1)
前川(座長)たくさんの質問をいただきました。順番に答えていきたいと思いますけれども、幼稚園の方からの最初の質問です。
「ゼロ歳児から母親が保育園に子どもを預けることによって、愛着障害を起こす子が増えるかどうか気になります」という質問です。
これは、子どもを保育園に預けないでので、母親が子どもに長く接触しているから普通に育つかというと、そういうわけではないのです。保育園に預けて帰ってからの時間を、むしろ触れ合いを十分にすれば決して愛着障害は起こりません。いくら一緒にいても、かかわり方が悪いと愛着障害は起こします。それだけのことです。
次は、「触れ合いは五感の刺激が多いほど効果があるといいます。嗅覚として、女性のにおいとありましたが、男性、父親のにおいによって違ってきますか」という質問です。
これは、生まれて間もなくは母親が抱いたり、粉ミルクをやったりとか何かは全部お母さんがしますので、赤ちゃんは父親を受け入れません。しかし、もし途中からでもその父親が意識してかかわってくれば、子どもはだんだんなつくというか、父親でも、においの違いによって子どもが拒否することはないと思います。
このことを以前は「育児性」と言っていました。男にも育児性があると。これはまた議論ですけれども、子どもを育てる上では、母親的な人と父親的な人の2人が必要だということになっています。
古野先生、今のことで何かありますか。
古野先ほどの質問の「ゼロ歳児保育の件」ですけれども、ゼロ歳児期に関しては、何カ月単位で分けて考えないといけないと考えています。首がすわる3カ月までは、前川先生がお話しになった、特定の養育者との密着した関係というのがすごく大事だなと、私は乳児のプログラムをやっているので、そう思います。
それから、首もすわってお座りができるくらいになってくると、第二者、第三者、言ったら父親だとか、そういう人たちがかかわることがかなり上手にできるようになってくる。保育園のように、1日離れておくというのができるようになるのは、せめてハイハイ、できればたっちができるようになってからかなというふうに私は思っています。