寄稿 「こどもの発熱の原因とその対処法」
九州大学大学院医学研究院 成長発達医学分野 小児科教授 原 寿郎先生
発熱とは、厳密にはその小児個人の〝体温が正常な日内変動を逸脱して上昇している状態〟と定義されます。つまり本来は小児各個人により発熱の値が異なるもので、各年齢の健康小児の最高温度の99パーセンタイル値、あるいは健康小児の平均体温は、発熱の絶対的な基準ではありません。健康小児の正常体温には幅があり、37.5℃以上で正常の場合も十分あり得ます。診療においては簡便化して一般に小児では37.5℃以上を発熱と考えています。しかし個人差があるため、標準範囲の中でも異常のこと、また標準範囲を超えていても正常のことがあります。つまり健康時の体温が低めの場合には、37.5℃以下の体温でも発熱と捉える場合があります。前述のように、年齢、測定部位、測定方法・手技、測定時刻、測定環境、発熱性疾患を疑わせる症状や徴候の有無、運動などによる生理的変化も念頭に置いて発熱の判断を行います。