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第33回母子健康協会シンポジウム 「食物アレルギーのお子さん達が健やかに育つように…ガイドライン作成を機会に」
1.「食物アレルギーへの対応の最近の進歩」

あいち小児保健医療総合センター 内科部長 伊藤浩明先生

ここまでは、アレルギーになってしまったものを確実に除去して、安全な食事をしましょうということが、こんなふうに普及してきたというお話をしました。実は今、一番進んでいるのはそこから先なのです。食べられる部分を少しでも食べていって早く治していきましょうという考え方が、最近の進歩として大きくなってきています。

「必要最小限の除去」という言い方がこれまでのキーワードでした。例えば卵アレルギーがあっても、クッキーのように高熱で焼かれてしまったら低アレルゲン化されているから、食べられる可能性が高いですと。これはずっとこれまでやってきたことですね。

最近のキーワードは、そこからもう一歩踏み込んで、「食べられる範囲」を確認したら、そこまでを積極的に食べていこうと、より積極的に食べることを目指した食事をすることになってきています。

この方針を実現するときに何をまず第一に考えるかというと、これは基本なんですけれども、アレルゲンというのはたんぱく質だという免疫学の一番原点です。抗原になるのは基本的にはたんぱく質ですから、卵のたんぱく質とか、牛乳のたんぱく質をどれだけ摂取できるかということが、食べられる量の物差しになるはずです。

その例として、牛乳を考えてみます。牛乳というのはたんぱく質3・3%入っています。牛乳100t飲むと、3・3gの牛乳たんぱくを摂ったことになります。ヨーグルトというのは同じぐらいのたんぱく質が入りますので、牛乳10t飲めたらヨーグルト10g食べるのとほぼ同じ。

よく皆さんが間違うのですが、バターというのはいかにも乳製品ですね。いかにも乳製品ですが、あれは脂のかたまりであって、たんぱく質は少ないのです。食品表示によれば、バターのたんぱく質含有量は0・6%、牛乳の約5分の1量です。そうすると、牛乳10t飲めるとわかったら、バターは50g使っても平気です。つまり、牛乳10t飲めるということは、バターはお好きなだけ使ってくださいと言っても構わないわけです。この感覚は、わかってしまうと当たり前なんですが、まだまだ一般の方はご存じないと思います。牛乳を10t飲めたら、「パンをトーストにしてバターを塗るぐらい平気だよ」と、そういうふうに言えるのです。

逆に間違えるのがチーズです。チーズは発酵していますが、たんぱく質のかたまりです。表示を見ると、ちょっと幅がありますけれども、20%ぐらいたんぱく質が入っています。牛乳10tがいいからといって、チーズ10g食べたらちょっと大変ことになります。牛乳70t飲んだことになってしまうわけです。牛乳10t飲めて、食べられるチーズの量はせいぜい1・5g。たんぱく質量として計算すれば、チーズを大体どれぐらい食べられるかというのがわかるわけです。

こんな考え方で、幾つかの食べ物について、これを食べていいかしら、どうかしらと迷ったときには、たんぱく質がどれだけ入ってくるかということをイメージしていただけると、考えていけると思います。小麦に関しても同じです。「うどんをどれだけ食べられたら、パンをどれだけ食べられるかしら?」ということが、少し計算すればわかってくるのです。そういうことを含めて、食べられる範囲、食べられる量を確認して、安全に食べられるところまではむしろ意識的に日常的に食べようというのが、早く耐性獲得に向かっていくための食事ということになります。

主な乳製品のたんぱく質量換算

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