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第33回母子健康協会シンポジウム 「食物アレルギーのお子さん達が健やかに育つように…ガイドライン作成を機会に」
4.総合討論(2)

もう一つ、診断の問題にいきましょう。これは常に出てしまうのですけれども、お医者さんの問題というのは大きいですね。診断書を出していただいていて、皆さんが勉強すればするほど、「何これ!?」という診断書が出てくる(笑)。これは頭が痛いですね。

少なくとも湿疹の症状を見ただけで、何が原因なんてわかるはずないです。私たちが何千人、何万人の患者さんを診てもわからないです。あくまでも実際にその人が食べたときの状態でもって判断するしかない。ですから、お医者さんよりも、お母さん、保護者の方が、一回でもいいから実際に食べたときに何が起きたかという、具体的なエピソードをお話しできるかどうかということが一番決め手になります。

具体的にこんなこと起きましたとお話のできないお母さんがいたとしたら、恐らく、本当の食物アレルギーの症状を経験したことのない方です。全く食べていないのだったらわかりませんけれども、本当の症状を経験したお母さんは間違いなく話をされます。これは皆さんでも、きちんと話をされたらきっとわかると思います。

今でも、湿疹が続いているためにまだ解除ができない、という感覚で診療を受けている方がいると思います。けれども私たちは、下手すると並みの皮膚科の先生よりも積極的にステロイド軟膏を使って、スキンケアとか皮膚の治療そのものをやります。湿疹そのものが重症のまま続いてしまうという方は、どう頑張っても対応できない重症者はもちろんいますけれども、実際には少ないです。とにかく湿疹は、まず湿疹としてしっかりやっつけてしまうということです。湿疹があるから、どんどん除去食を増やすなんていうことは、今では絶対やらないですね。

湿疹が不安定な方ほど、何か食べたときに「悪くなった気がする」と言ってきます。何をやってもかゆくなるわけですから、たまたまかゆくなったときに、人間ですから、思い起こしてみたら半日以内には何か食べているわけです。今かゆくなったのは、そういえば朝ご飯にあれを食べたせいだとか、勝手に結びつけている。そういう紛らわしさをなくすためにも、湿疹の治療は割り切ってしっかりやりましょう。

ですから、本当に食物除去に対応するかどうかは、具体的に食べたときに症状が出るかどうかできっかり割り切っていきたいところです。けれども、そこが主治医の先生の指導されている方針とどうしても合わなくて、皆さんが板ばさみになってしまう場面は、どの地域に行ってもあります。愛知県でももちろん、そういう悩みは常にあります。

もう一つ、ちょっと近い問題で、妊娠中の予防的な除去というのは今どんな考えかというご質問を一人、いただきました。

結論から言うと単純で、何か特定の卵とか牛乳を妊娠中から除去するということで、アレルギーの病気を予防する効果は全く認められないということで、これは1990年代半ばのたくさんの臨床研究でわかっています。少なくとも卵を除去したらアトピーが予防できるとか、そんなデータは全く出ないです。除去食というのもあくまで、食べると症状が出るから、仕方ないからやめておくというだけで、それ以上積極的な意味はないというふうに割り切っていただければいいかなと思います。

重症のお子さんですと、周りで何か食べているだけで、何か症状が出るというふうに感じる方は、実際にいます。例えば、周りで牛乳の入ったものをいっぱい摂取していると皮膚が赤くなってくるとか、魚アレルギーの強いお子さんですと、家の中で魚を焼いてにおいや煙が充満すると、咳き込んで喘息が始まるとか、そういう現象というのは重症の方の中には確かにあります。

たんぱく質というのは意外と揮発するんですよ。空気中にパーッと飛んできます。煮たりすれば湯気の中に出ます。ただ、これはかなり限られた重症の方で起きることであって、恐らく食物アレルギーと診断している方の1割もいかないぐらいの頻度ではあります。

そういう場合、給食の時間にどこで食べさせるかということを、実際に考えなければいけない方がいることは事実です。友達と同じ場で、先生方のお隣の席で給食を食べるという形に極力したいとは思いますけれども、本当の安全性のためには、やむを得ず別室になる方もいることは事実です。

あと、食品関係のことで幾つかコメントをいただいています。完全除去をすることを原則にした場合、パンの中に牛乳が入っているものについては除去ということでしょうかというご質問で、これは原則としては除去です。パンの中の牛乳の混入量は、計算すると意外と多いです。少なくとも学校給食のパンは、カルシウム強化のために脱脂粉乳を意外とたくさん入れていて、試算すると1人当たりのパンの中で、多いもので牛乳30t相当ぐらいの脱脂粉乳が入ってきます。

よく、「脱脂粉乳ぐらい入っていていいですか」と言われる方がいますけれども、全く逆です。脱脂粉乳というのは、牛乳から水分だけ飛ばして粉にしていますから、10倍濃縮されています。1g入っていたら牛乳10t飲んだことになります。ですから、パンの中に入っている牛乳の量というのは、決してすごい微量ではないです。もちろん最終的には、その子が食べて症状が出るかどうかということで判断するべきですが、完全除去という概念の中には、パンに入っているものも除去するというのが原則として含まれます。

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