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第33回母子健康協会シンポジウム 「食物アレルギーのお子さん達が健やかに育つように…ガイドライン作成を機会に」
4.総合討論(3)

ある特定のもの、特に魚などで、1回だけ食べたときにじんま疹が出たという経験がありますよね。俗に言う、サバを食べてじんま疹が出たと。一回だけそのエピソードがあったら、それ以降、除去という対応にするかどうか。これは難しい判断だと思います。特に魚類は、たまたまそのときに食べた魚の鮮度とか状態によって、ヒスタミンというのがたくさんできてしまい、それだけで過敏性の高い子どもがじんま疹を起こすことがあります。一回だけのじんま疹で、以降一切除去にしてしまうというのは、ちょっともったいないことがあるかもしれません。

そこを、もう一回食べるという挑戦をするかどうかは、最終的には「主治医の先生の確認のもとに」ということになろうかと思います。園で何らかのものを食べて症状が出たときには、自宅で同じようなものを何度か挑戦していただくなり、病院で確認していただくということで、確認を取った上で再開していいかどうかを決める。これは必要ではないかと思います。

私たちでしたら、「心配だったら一回病院に持ってきて、じんま疹が出たら対応してあげるから、待合室で試しに食べてごらん」なんて言って、1回、2回、確認して、「やっぱり大丈夫だよね」とお母さんと合意して、先生方に伝えるということをやります。

専門施設でそのようなことをスムーズにやっていただければ、一番ハッピーでしょうけれども、実際にはなかなか難しいかもしれません。

少し特殊なお話の中に、米のアレルギーという話をいただいています。米のアレルギーというのは、実際にいないことはないです。アナフィラキシーを起こすような重症の米アレルギーは本当に稀で、多くの方は、食べると湿疹が悪くなるというふうに感じています。

その中でちょっと特殊な品種――アレルゲンになりやすいたんぱく質を減らしましたという品種が昔からあって、それだけだったら食べて大丈夫と、生活の中で実感している方は確かにいます。そういう方に関しては、家で、ある品種を選んで食べているというのは別に制限することもないので、どうぞと思っていますが、それを保育園で提供するかどうかというのは、さすがにちょっと大変でしょう。米だけ預かって1人分だけ炊くというのは難しいでしょうから、必要だったら「家から持ってきてください」という対応をやむを得ずやることもあるでしょう。そのレベルの多くの方は、普通のご飯を食べてもアナフィラキシーを起こすような危険はないです。ただ、「普通のご飯を食べると、何かかゆがります」という印象を持つ方はいますので、そこは話し合いの余地があるかなと思っています。

これを本当に確認しようと思うと、ブラインド法の負荷試験ということをやらないとわからないです。ブラインド法というのは、例えば、お米を病院でお預かりして、2日か3日入院してもらって、普通の米を食べているのか、ある特殊な品種を食べているのかわからない状態で、3日間の食事の中のどこかにこっそり普通のご飯を混ぜてしまって、それでもかゆくなりますか?と。そういうことをやらないと、お母さんの気のせいとか、思い過ごしかどうかということは確認がつかないです。正直、そこまで確認したことはないですけれども、そういうふうに感じている方がいることは事実です。

同じように微妙な問題で、卵アレルギーがある方で、揚げ物で卵を一部使った揚げ油を、再利用していいかどうかというご質問があります。大部分のアレルギーの方は、この程度のことでは問題を起こさないと思っています。油の中に溶け出すたんぱく質の量なんてごくわずかですし、それがかなり高温の中で存在しますので、ほとんど問題を起こさないのが普通です。ごく例外的な最重症の小麦アレルギーの方については、さすがにそれが気になることがあります。この対応が必要なのは、恐らく小麦だけですね。牛乳、卵でそこまでのことはまずないです。小麦は、衣のかけらが次に混入してしまうと、それが直接入ってくることになりますから、完全に濾過する管理をやらないと済みません。これはさすがに給食では賄いきれないので、結果的にはお弁当を持っていきますという対応になる場合もあります。

最後に、予後の問題です。6歳過ぎて小学校に上がってくるところまでアレルギーが続いているけれども、将来どうでしょうかというご質問をいただいています。先ほどの海老澤先生のお話の中でも、小学校入学ぐらいまで、本当に強いアレルギー、微量でもアナフィラキシーを起こすような状態が続いているお子さんは、さすがにその先、耐性獲得をしてくる可能性はかなり低くなってきます。6歳から3〜4年たって、だんだんと食べられる量が増えてくるということはもちろんありますけれども、治っていくスピードはずっと遅くなります。

私たちが今、免疫療法に挑戦しているのは、そういうお子さんたちに対して何とか治療を進めたいということで、かなり挑戦的なことをやっているというのが現状です。そのお子さんが6歳まで間違いなく強いアレルギーであれば、医学的な今後の経過として、きちんとした指導を受けていく必要があるのではないかと思います。

前川 今、伊藤先生がIgE抗体のことから、いろいろな食物のこと、最後は、ずっと治らなくてとか、幾つかのことをお話ししましたけれども、特に今のお話で質問はありますか。

(質問者)お話、ありがとうございます。私の学校には、IgE抗体が高いから経口負荷試験をやらないほうがいいと指導されているお子さんがいらっしゃいます。経口負荷試験をせずに、症状は何かしら出ることはあるんですけれども、お母さんの重症であるという申告のもとにいろいろ対応をしていますけれども、先生のお話を聞いていると、重症度はIgE 抗体の高さで判断されず、経口負荷試験での症状の強さ弱さで判断されるということで、間違いないですか。

伊藤もともと抗体価が高く、クラス5とか6とか最高値あって、経口負荷試験に限らず、何か誤食したときに明らかに強い症状の起きた経験がある方は、もちろんいるわけです。それは、過去にそういう経験があるということでもって、診断として確定しているわけです。それがはっきりしているお子さんにとっては、抗体価がそのまま高いままでいるのか、少し下がってきているのかということが、食べられる可能性が出てきたかどうかを推測するのに結構役に立ちます。抗体価がずっと高いままで、無理して経口負荷試験をやっても、かなり高い確率で陽性に出てしまいますので、次に負荷試験に挑戦するタイミングは「抗体価が少し下がった頃にやりましょう」というふうに計画する場合はあります。

ですから、明らかに強い症状の経験があって抗体価が全然下がってこないために、3年4年除去が続いているということは、やむを得ない医学的な経過としてあり得ることです。

気をつけたい点として、アトピー性皮膚炎が重い方は、IgE抗体価が軒並み高いです。何を調べてもクラス5点、6点あって、「生まれてから6歳まで1回も食べたことありません」なんていう方がいます。そういうお子さんたちに思い切って負荷試験をやってみると、「意外と食べられた」ということが見つかってくることがあります。全くエピソードの経験なく、抗体価だけで除去されていることは、避けたほうがいいという意味です。

質問者わかりました。ありがとうございます。

前川特によろしいですか。

では、海老澤先生、次をやってください

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