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第33回母子健康協会シンポジウム 「食物アレルギーのお子さん達が健やかに育つように…ガイドライン作成を機会に」
2.「保育所における食物アレルギーの対応」

国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部 部長 海老澤元宏先生

もう一つの仕掛けとして自分が考えたのは、次のDです。Dは、「除去食品で摂取不可能なもの」にマルをつけてくださいと書いてあって、余計な食物除去をしなくて済むものはさせないという意図がここに詰まっています。卵で卵殻カルシウムとか、牛乳で乳糖とか、こういうものは普通の方は大体、大丈夫なことが多いです。それと、小麦の方の場合の醤油とか、調味料とか、麦茶とか、大豆の方の場合の大豆油とか、醤油、味噌、また、ゴマのアレルギーの方のゴマ油とか、本当にダメな人だけがここに○をつけてくださいというようになっています。これを設けておくことによって、例えば出汁とか、肉のエキスとか、そういうのが使われている食品とかも使えるようになったらいいですし、先ほどの食品表示の話にも関連してきますが、なるべく普通の食品に近いものを使っていこうという考え方がここに入っています。

以上のことが、ここに仕掛けられているいろいろなポイントです。あとは、実際のアレルギー対応ということに関して、資料1を見ていただけると、食物アレルギーのないお子さんと同じように、食物アレルギーのお子さんも安全・安心な保育所での生活を送るというのが、一番の究極的な目的です。あと、アナフィラキシー症状が万が一発生したときには、皆さんがきちんと迅速に対応できるように共通認識を持っておきましょうと。それから、医療関係者、保護者、保育園関係者の方が十分に連携する。そのためにこの管理指導表というのが中心になると思います。これをベースにして運用していただくと、医療機関からの情報と保護者からの情報と、保育所での情報共有が可能になるかと思います。

これをいつ出すのかということですが、基本的には、食物アレルギーの診断を受けたときと、年1回、4月の入園の時期とか、そういうところをイメージしています。それだけで本当に十分ですかと言われてしまいますけれども、先ほどの腹立たしい指示書のほかに、もう一つ、「先生のお墨付きをもらってきてください」と、それも私は非常に腹立たしいのです。

資料1.食物アレルギーへの対応

前述のような乳幼児期の現状や問題点を踏まえ、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」では保育所における食物アレルギー対応の原則を次のように示している。
@ 食物アレルギーのない子どもと変わらない安全・安心な保育所での生活を送ることができる。
A アナフィラキシー症状が発生したとき、全職員が迅速、かつ適切に対応できる。
B 職員、保護者、主治医・緊急対応医療機関が十分に連携する。
C 食物除去の申請には医師の診断に基づいた生活管理指導表が必要である(診断時+年1回の更新)。
D 食物除去は完全除去(食べるか・食べないか)を基本とする。
E 鶏卵アレルギーでの卵殻カルシウム、牛乳アレルギーでの乳糖、小麦での醤油・酢・麦茶、大豆での大豆油・醤油・味噌、ゴマでのゴマ油、魚でのかつおだし・いりこだし、肉類でのエキスなどは除去の必要がないことが多いので、摂取不可能な場合のみ申請する。
F 除去していた食物を解除する場合は親からの書面申請で可とする。
G 家で摂ったことがない食物は基本的に保育所では与えない。
H 共通献立メニューにするなど食物アレルギーに対するリスクを考えた取り組みを行う。
I 常に食物アレルギーに関する最新で、正しい知識を職員全員が共有し、記録を残す。

Dに記載してあるように本物の食物アレルギーに対しては食物除去をシンプルにすべきであるが、寛解途上にある児に対して人的に余力もあり、細かい対応ができている保育所のきめ細やかな対応を妨げる指針ではない。

それというのは、責任をそこにきちんと持ってもらおうという姿勢だろうと思いますが、食物アレルギーを、例えば「○○が食べられるようになりました」という時には、これは保護者の責任だと私は思います。医師が責任を持つ必要はない。医師は、保護者の方に対して、確固たる自信を持って診断して伝えたわけです。そうしたら保育所との関係は、その保護者の方が自己責任を持って申請ればいいと思います。

そうしないと、例えば未摂取のものがたくさんあったときに、お墨付きといって、「何枚これを書いたらいいんですか」という話になりますよね。例えば、これを1回書いて2、000円とか取られたりしたら、10回書いてといったら2万円です。冗談じゃないですね。ですから、診断するときと年1回の更新以外は、生活管理指導表ではなくて、取り組みガイドラインの中では、「親からの書面申請で可とする」と7番に書いてあります。もちろん口頭はダメです。口頭は、言った、言わないというのがありますから、親からの書面申請を基本とします。ガイドラインの中には書面申請のひな型も入っています。ですから、基本的には親の責任のもと、食べる、食べないというのは決めることとしました。

私たちが一番ポイントにしたいのは、食事をやめるということに対して、医療機関のお墨付きを持たなければやめてはいけないということなのです。逆の考え方。食べさせていいですよというのは、全く問題ないわけです。つまり普通になるということなのです。特殊なことを申請するというのは除去をするということだから、除去するためには、医療機関からキチンと証明がなかったらやめるなんていうことはしない。そういう認識です。

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