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第33回母子健康協会シンポジウム 「食物アレルギーのお子さん達が健やかに育つように…ガイドライン作成を機会に」
2.「保育所における食物アレルギーの対応」

国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部 部長 海老澤元宏先生

あと、私達がよく経験するのに、血液検査もやっていないのですが、ピーナッツ、そば、あるいは、エビ、カニ、イカ、タコとか、まだ固くて食べれていないとか、そういうのもありますよね。そうすると、単に未摂取というのが、例えば甲殻類とか軟体類、そういうところに入ってくるでしょうね。

だから、ここにそういうものをきちんと医師が書いてくれると、皆さんが、預かるお子さんがどういう状態なのかが手に取るようにわかるわけです。これは私が考えて作ったのですが、いろいろとかなり考えました。皆さん方の施設は違うかもしれませんけれども、患者さん達は私たちの病院に保育所の食物除去の指示書というのをよく持ってこられます。それが、保育園ごと、市町村、全部違います。自分がいつも腹立たしいなと思っていたのは、「IgE抗体を書け」というもの、それを見ると、もう目の敵にして、〝IgE抗体の数値を書いても何にも意味がない。IgE抗体を書くことは食物アレルギーの診断にも何にもつながらない〟と。それで、いつの日か必ずいいものをつくってやりたいと思ったんですね。それでこれを考えたわけですが、学校のアレルギーの管理指導表のほうも大体同じフォーマットですが、診断根拠と未摂取というところが違うだけで、保育所にかなり特化したものができたのではないかと思っています。

そのほか、Dの緊急時に備えたものは、内服薬(抗ヒスタミン薬、ステロイド)、アドレナリンの自己注射(エピペン0・15㎎)と書いてあります。これは後でまたお話ししますけれども、小学校、幼稚園は文部科学省管轄で、エピペンを基本的には使ってもいいということになっていて、管理指導表は、厚生労働省管轄で自分が関わってつくりました。保育園がダメで幼稚園・小学校がいいとか、基本的にはそういう差を発生させないというのが厚生労働省の考え方で、どの年代でもそういう問題が発生したら、きちんと使えるようにしておこうと。

実際に保育所でエピペンを打つ場面というのは、多分そんなには多くないと思います。ただ、万が一のために使えるようにしておくことは非常に重要なことです。皆さんもご存じと思いますけれども、この間、調布で亡くなった小学生がいました。あとは横浜市で、児童相談所でお預かりになっていた卵アレルギーのお子さんも亡くなりましたね。そういうことは「絶対に起きない」ということはないのですね。

そうしたときに、私たち医療関係者ですら、もし薬がなかったら完璧お手上げです。それが何らかのものが使えるということは、その方の命を救えるチャンスが増えるというふうに考えていただきたいと思います。針が出るというのは確かに嫌悪感があります。一般の方はなおさらだと思います。ただ、基本的に私たちの体から出てくるもの(アドレナリン)をもともと打っているので、大きな問題にはならないのです。副腎髄質といって、腎臓の上にのっている臓器から出てくるのがアドレナリンという物質で、皆さんもしょっちゅう出していると思います。例えば、すごく怒ったときとか、興奮したときとか、緊張したとき。でも、そういうときは別にその状態がずっと続かないですね。15分ぐらいしたらもと通りになりますよね。それと同じです。だから、外から入れても15分ぐらいしたらもと通りになる。そのような薬です。

アドレナリン自己注射用製剤エピペン

ただ、針が出てくるので、問題は打つ場所なのですね。「アナフィラキシーへの対応」というところの写真1を見ていただくとわかるように、太ももの前外側に打つというのが、一般の方がやるのでしたら絶対的な原則です。そこになぜやるかというと、ここは基本的に血管もないし神経もないのです。筋肉しかないので、例えば、そこに打ったときに動いてしまって、傷口がちょっと切れてしまったとか、そういうことは起こるかもしれないですが、ほとんど問題がないということなので、このエピペンというものをきちんといつでも使えるようにしておくように考えたわけです。

管理指導表に戻りますけれども、この管理指導表をどういうふうに使っていくかという、実際の運用について御説明したいと思います。

真ん中の欄の「保育所での生活上の留意点」の一番上、給食・離乳食、これが一番のポイントだと思います。保育園、保育所ではお子さんを日常生活の一環として預かるわけですから、食事を出さないというわけにいかないですね。ですから、そこのところが一番のポイントになります。

あとは、アレルギー用の調整粉乳とかそういうもので、特殊なものを使っているかどうか。これは低年齢のお子さんが対象になると思います。

食物・食材を使う活動は、小麦粘土とかそういうもの、学校ですと調理実習もありますが、保育園では、粘土とかそれぐらいでしょうか。

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