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第33回母子健康協会シンポジウム 「食物アレルギーのお子さん達が健やかに育つように…ガイドライン作成を機会に」
4.総合討論(4)

海老澤保育園に診断がきちんとしていない人が入ってきたときに、どういうふうに対応するかということですが、これは、保育園側からアプローチしていくのはなかなか難しい側面があります。ただ、お母様方に情報提供をしてあげるという観点からすると、厚生労働省とか、日本小児アレルギー学会とか、そういったところから出ているガイドラインを紹介してあげるのも一つかと思います。

あと、もし診断がきちんとしていない状態で年齢がかなり上まできていると、お母様自体に何らかの要因がある場合があります。非常にこだわりが強い方とか、非常に心配症でなどが関係します。ですから、除去をすごく強いてしまう主治医にずっとついていってしまう、お母様方のところに要因があるケースもあります。そういう場合は、私たちの専門機関に来られても、かなり手ごわいです(笑)。そういう方には長く時間をかけて話して、本当に納得してもらうまで1回の診療ではとても無理で、2回、3回繰り返ししつこく情報提供をしてやっていくことが必要なので、保育所の保育士さんのほうからアプローチして何とかなるという代物ではないだろうと考えます。

それと、不適切な医療をしている先生が近隣にいて非常に困っているという場合は、保育園あるいは保育所のガイドラインの運用をその地域できちんとやっていっていただくと、医師会と協調してそれは進めていかなければいけないです。その地域の医師会の保育園部会というのが多分あると思うので、そういうところと、あとは市と、保育園は公立、私立ありますけれども、そこと、どういうふうに地域での食物アレルギー、アナフィラキシー対応を進めていくか、そういう話になるわけです。それをキチンとしていった場合には、医師会の先生も関与してきますから、不適切医療をしていて、あそこの保育所だけ食物除去が非常に多く出てくるということがはっきりわかってくると、今度は医師会のほうとして何らかの対処をしようということになります。

相模原市の例を挙げると、4月から実際にそれが始まります。相模原市も例外なく、皮膚テストだけで全部除去という先生がおります。そういう先生の近くの保育所はすごく迷惑をしていて、そういう人たちがたくさん来るわけです。そうしたときにどういうふうにアプローチしていこうかということは、今、考えていて、先ほど私が話をした、B番、Cだけがずうっと続いていく人がたくさんいたら、例えば市の保育園部会の専門の先生に相談して、患者さんたちに、「不適切な除去をしているのではないですか?」というようなアドバイスをしてあげるのは可能ではないかと思います。

これは小学校でも、横浜市で私は相談に乗っていますけれども、「不適切な管理指導表が出てきたら相談してください」ということは常に申し上げています。極端な話で言うと、不適切な除去をするというのは児童虐待に近いです。

私が経験した例で、ある小児病院の内分泌科にくる病で入院した子どもがいて、そのお母さんは非常にこだわりの強い人で、その上のお子さんが卵、牛乳アレルギーで、そんなにひどくはないけれども、除去を徹底的にやってしまう訳ですね。2番目のお子さんには食物アレルギーは全く関係ないから、普通にやってくださいと言っても、ずっと牛乳を除去して、カルシウム不足の結果、くる病で入院してしまいました。その内分泌科の先生が児童相談所に通報して、児童虐待の事例ということになったわけです。

子どもが普通の食事をしていくことを妨げるのは、親の権利でも何でもありません。健全な生活を送っていくのを保障してあげるのが親の責務であって、例えば、それを過剰にやり過ぎて健康被害を発生したら、児童虐待と言っても過言ではない事例もあるということです。ですから、不適切な医師にかかっていて解決できない場合は、多分、学校とか保育所とかに出てくる指示書あるいは管理指導表、そういうものをきちんと見て指導を入れるなどの対策もあるのではないかと思っています。

だから、これは皆さんのところで解決しようと考える問題ではないだろうと思います。もっと大きな枠組みで考えていって、市などの行政単位で、管理指導表やガイドラインの運用をちゃんとやることによって、そういうことが初めて解決できるようになるということです。そのためにもガイドラインの普及・啓発というのは、先ほど前川先生がおっしゃっていましたけれども、非常に重要だと思います。それが全国に進んでいけば、そういう事例はなくしていける可能性は秘めているのではないかと思います。

先ほどの伊藤先生のお話を聞いていて、その辺、ご説明しておいたほうがいいかなと思ったので、追加させていただきました。それに関して何かご質問があれば、お受けします。

前川いかがですか。紙に書いた質問は非常に多いのですけれども、こういうふうに「どうぞ」と言うと、皆さんは意外とおとなしくて……。どうぞ遠慮なく。

伊藤ちょっとだけ補足ですけれども、私たちがどんなに問診しても、家で何を食べさせているか全然把握できないお母さんというのがいるんですよ。おそらく料理をつくっていないか、お惣菜を買ってくるとか、そういうことが中心で、本当に除去しているのか、していないかも聞き出せない場合がある。皆さんが聞いても苦労するのではないかと思います。

最終的にはそういう方というのは難しいです。買ってきたものでもいいし、レトルトでもいいから、ちゃんと食べさせてくださいというところに行くんですけれども、今、海老澤先生が言われたように極端な、本当に食べさせていなくてくる病になった方は、私たちも何例も経験があります。もう一方で、アトピーの治療を全くやらずに重症化していくという方も問題があります。そういうケースで、児童相談所と一緒に動いたというケースは何例もあります。

前川特によろしいですか。

では、海老澤先生、保育所における食物アレルギーの対応に関する質問の回答をお願いします。

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