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第33回母子健康協会シンポジウム 「食物アレルギーのお子さん達が健やかに育つように…ガイドライン作成を機会に」
4.総合討論(5)

海老澤保育所でどの辺まで食物に関して注意をしたらいいかということで、同じ生産ラインに混入しているとか、あるいは、微量とか、食器はどうしたらいいかとか、そういうことですね。

それに関しては、食器というのは、しみ込むようなものでない限りは、普通は洗うだけで十分だと自分たちは考えています。

コンタミネーションと言って、もともと原材料としては使われていないけれども、例えばこの部屋で、ある粉が非常に舞うよう環境であるモノをつくったときに、ほかのモノが入ってくる可能性があるということを書いてあるわけです。健康被害が発生するレベルは、患者さんによってさまざまですけれども、基本的にはほとんどの人が出ないだろうというレベルで書いてあるわけです。通常、数ppmというふうにそのレベルが決まっているわけですが、そこよりも下のものであればそういう記載でいい。それより上だったら原材料表示に書かなければいけないということなので、通常はそのレベルは許容できるというふうに私たちは判断しています。

ただ、表示義務違反ということで、たまにレベルを超えてしまっている場合があります。そういったときは、何か食品を食べて出ました、ただし、そこには原材料表示がありませんでしたという場合には、地域の保健所に持っていくと、原材料としてどれだけの原因食品が含まれているかというのをちゃんと調べてくれます。多くの人が知らないのですが、そういうことをして、食品衛生法に違反しているか、いないかということで、もし違反していたら、その業者には指導が入ります。

あと、醤油、味噌の大豆をどこのラインで引くか。大豆油は基本的に非常に精製がいいので、本物の大豆アレルギーの人に「大豆油を制限してください」というのは、私は100%と言っていいほど言ったことがないです。

醤油はどうかというと、ほとんどの人には普通の大豆由来の醤油で摂ってもらっていますし、小麦の患者さんも摂ってもらっています。ただ、どうしても症状が出るという方に関しては、実際に負荷試験をして確認してそれで除去対応ということをします。ですから、先ほどの管理指導表の中のどうしてもダメな場合というのは、そこにつけるようになっているわけです。

それから、完全除去対応というのはどういうふうに調理をやったらいいかというのは、伊藤先生とか私たちに話を聞くよりも、多分、栄養士さんに話を聞いたほうがいいと思います。どういうメニューをつくっていったらいいかというのは、僕たちの病院でも、伊藤先生の病院でも、管理栄養士の方が僕らと一緒に診療しています。そうすると、そういう方々のほうが、どういうメニューで卵・牛乳・小麦を避けるパターンがあるかとか、そういうことは非常にレパートリー広く、よく知っています。ですから、うちの病院の管理栄養士でもいいですし、伊藤先生のところでもいいですし、他の先生ところにもいい栄養士さんがいます。

ただ、全国にどれだけいるかというと、そういうレベルの人は、10人いないかな……。だから、そういう人たちに講演に来てもらうとか、そういうことも可能です。うちの病院は管理栄養士が2人います。食物アレルギー研究会のパンフレットが置いてありますけれども、そこの事務局をやっていまして、彼女たちは全国に行って色々な講演をしています。もし、そういうことを詳しく具体的に知りたいということでしたら、ぜひコンタクトしていただければ、ご紹介します。

エピペンに関してのご質問もありましたが、緊急時、症状が出たときにどういうふうにしていくか。もちろん、皆様方に僕たちと同じようにやってくださいと言うのは基本的には無理なので、できる範囲でやっていただく。そのためには、ガイドラインの中にも、今日お配りした資料の中にも書いてありますけれども、まずは、どういう症状がお子さんに出ているのかということを把握することが非常に重要です。

例えば、何かを食べて口の周りにすぐ赤みが出ましたといったときに、それはどうなのですかという質問票がありました。「トマトを食べて口の周りが赤くなりました。それは食物アレルギーですか」と。これは微妙なのです。トマトの中に入っている化学物質によって口の周りが反応していたり、あるいは、塩分が非常に濃いものを食べると、子どもは口の周りが赤くなったりとか、塩かぶれとかしますよね。そういうものと食物アレルギーとはきちんと区別しなければいけない訳です。

通常、私たちが一番怖いなと思う食物アレルギーは、全身的に出てくるものです。通常は、小腸から吸収されて入ってくると私たちは考えています。口の粘膜のところの接触だけで症状が出る場合は、5分以内ぐらいにバッと出てきます。だから、時間経過というのも非常に重要です。食べた後に口の周りが赤くなる、あるいは摂食して、ほかに症状は何もないというような場合は、経過を見ていて、そのうち、消えてくることが多いのではないかと思います。

ただ、それが首、あるいは顔以外の遠く離れた体とか、そういったところに皮膚症状が出てくるとちょっと心配かなと。抗ヒスタミン薬を飲んで経過を観察しましょうと、今日、私が配布した資料の中に書いてありますが、それで経過を見て、それで引いてきてくれて、例えばお腹が痛いとか、気持ち悪いとか、呼吸がしにくそうにしているとか、コンコン咳き込んできたとか、そういうことがなければ、通常そのまま何とか引いてくるというふうに考えられます。

エピペンを打つべきかどうかは、多くの場合、呼吸器系の症状次第です。呼吸器の症状は、配布した資料にも書いてありますが、やはり多いのは、単発の咳とか、断続的な咳とか、連続する咳とか、ゼーゼーしてきて喘息みたいになってくるとか、息が吸い難くなるのも非常に危険です。息が吸えないというと、喉頭と言って、ノドの声を出す近くがむくんでくることもあります。そうすると、一気に窒息ということもあり得ますから、その二つですね。肺と喉頭の症状は非常に重要です。これが出てきているというと身構えないといけないことになります。

それに対して肺の症状であれば、気管支を広げる薬の処方を受けていれば、そういうものを使っていくのも選択肢の一つですが、ただ、呼吸器症状が出たら、間違いなく医療機関に連れていったほうがいいです。それがものすごいスピードで来たら、エピペンを打って救急車を呼んでということになります。

シンプルに三段階ぐらいです。医者に連れていくべきなのか、救急車を呼ぶべきなのか、ここで見ておいていいのか、その三つをきちんと区別することが重要ではないかと思います。

エピペンは、練習をどうやったらいいかとか、そういうことは、今、ファイザー製薬という会社がエピペンを売っています。ファイザーのホームページにエピペン関連のものがあるので、そこのウェブサイトに行くと、どういうふうに打つとか、あるいは、トレーナーが欲しいという場合、近くにアレルギー専門の先生がいれば、そういう先生にお願いできるかなと思います。

ファイザー薬品に直接お願いして、トレーナーを、保育園関係者、学校関係者の方がいただけるかどうかということに関しては確認していませんけれども、貸してもらえると思います。

エピペンに関連して、この間の調布のお子さんの件ですけれども、エピペンを校長先生が打ったタイミングが、多分、心肺停止状態だったのですね。だから、その前の段階に打てていたらちょっと違っていたかなと。ただ、その前の段階で、お子さんが喘息の発作だと思って、エピペンを打たなくていいということを担任の先生に伝えている訳ですね。そこで担任の先生が、いや、これは打ったほうがいいということを言うのは難しい問題をはらんでいます。あと、おかわりの問題というのは、「おかわりを先生が」というふうに新聞報道とかテレビではありましたけれども、先生のせいだけの問題ではないと思います。

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