未来へのバトンリレー
2000年から2002年に国立病院九州がんセンターで主に骨髄移植に従事し、2002年9月から鹿児島大学小児科に赴任し、仲間と一緒に600人近い小児がん患児を担当させていただきました。成人の病気であれば何千人という数字になる教授も多いと思いますが、小児科の中の特殊な患者さんになりますので、600人という数字は少なくはないと考えています。
そのうちの504人の生存曲線を図3に示しました。
図3.筆者が鹿児島大学に教授として在籍中に、小児科病棟で経験させてもらった小児がん患者505人の長期生前率を示しました。
急性白血病では90%程度になりますが、全ての小児がんでは78%でした。
21世紀になって出会った患者さんは80%近く治っていますので、40年前にこの世界に参加したころと比較すると大きな進歩です。しかし、医療者と患児・家族の努力は今後も続きます。世代間協力ですので、この20年間を一緒に病気と戦ってくれた医療スタッフと患児が、各自の経験と技量にさらに磨きをかけ、次の世代に引き継いでくれると思います。80%を90%にすることの労力は非常に大きいと推測しますし、いい治り方を求められる時代になっています。医療従事者のみならず、製薬会社、機器会社、そして日本社会みんなの力で限りなく100%に近づく時代が早くくることを祈ります。
謝辞
図4は患者さんからいただいた似顔絵です。「ふたば」に掲載してもらうに相応しいかどうかは微妙ですが、これまでに出会った患者さん、医療の仲間、そして江崎勝久理事長はじめ公益財団法人母子健康協会の皆様に「ありがとうございます」と感謝しながら本稿を閉じさせていただきます。
図4.幼児期に発症し、成人に達するまで継続して担当させてもらったNさんからの退職記念プレゼントです。
こちらこそ、ありがとうございました。